2018年10月17日(水)

大飯原発4号機再稼働、関電「石油ゼロ」焦点に

2018/5/9 18:25
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関西電力は9日午後5時、大飯原子力発電所4号機(福井県)を再稼働した。同3号機と高浜原発(同)を含め、原発4基の稼働体制が整う。今後の焦点となるのが発電コストの高い石油火力の扱いだ。販売電力量の減少が続くなか余剰感はこれで一層高まり、長期的に廃止も視野に入る。ただ地元経済への影響は大きく、ハードルは高い。

関西電力大飯原発の4号機(手前)と3号機(福井県おおい町)

最近は原油価格が高騰している(海南発電所、和歌山県海南市)

■値下げで価格競争に拍車

再稼働は4年8カ月ぶり。原子力規制委員会の最終検査を経て6月上旬にも営業運転に移る。岩根茂樹社長は再稼働について「安全最優先で緊張感を持って、慎重に作業を進めていく」とコメントした。国内で再稼働した原発はこれで8基目となる。

関電は今後、営業運転中の大飯3号機を含めた収益改善効果を踏まえ、7月にも電気料金を再び下げる。再稼働により火力発電の燃料費が減り、月100億円、年換算で1200億円の収益改善を見込んでおり、これらを原資にする。値下げ幅は4%を軸に調整を進めるもよう。しかし、競合の大阪ガスの対抗値下げも想定されるため、価格競争力を高めるためのさらなる収益改善は不可欠だ。

岩根社長は3月、大飯原発4号機再稼働後の電源構成について、「原発が4基動けば石油がまずなくなり、そのあとに液化天然ガス(LNG)が減る」と言及した。

石油火力が不要となる大きな理由は2つある。最も大きいのは販売電力量の減少が続くなかで供給過剰となることだ。人口減や節電の広がりに加え、自由化による新電力への顧客流出で関電の電力販売は減り続けてきた。2018年3月期の販売電力量は前期比5%減の1152億キロワット時で7年連続のマイナス。今後も競争激化が予想される。

大飯2基は関電の原発の中で発電量が最大だ。高浜原発をあわせて4基体制となり、総発電量のうち原子力の割合は2割を超える見通し。4基で出力は合計約400万キロワット。一方、稼働中の石油火力は最大出力が約360万キロワット(燃料転換した発電所を除く)。石油火力を全てやめても供給力に問題はなくなる。

もう1つはコストだ。石油火力は14年時点の試算で1キロワット時当たりの発電コストが30.6~43.4円とLNGや原子力に比べて2~4倍に上り、圧倒的に高い。最近原油価格が高騰していることもさらに魅力を低下させている。古くなった発電設備は効率が低下し、効率化や燃料転換のためには新たな投資が必要になる。

火力は原子力に比べて比較的短期間で動かせるため急な需要増に対応できる。再生可能エネルギーの電力流入による周波数の変動を補う「調整力」としての役割も果たす。「安定供給としての役割から非常に重要」(幹部)なのは事実だ。ただ、原発が順調に稼働するなか、すべての石油火力を維持する意味は薄れている。

■雇用への影響大きく

関電の石油火力は運転再開見込みがない「長期計画停止」の2カ所を除くと海南(和歌山県海南市)、御坊(同御坊市)、赤穂(兵庫県赤穂市)、相生(同相生市)の4カ所。このうち相生は既に石油以外への燃料転換を進めており、和歌山県内にある1970年運転開始の海南や84年運転開始の御坊などが廃止の検討対象になる可能性がある。

ただいずれも雇用への影響は大きく、自治体との調整は難航も予想される。関電は発電所ごとの雇用人数を公表していないが、直接雇用のほか、協力会社を含めると各発電所でそれぞれ100~200人の雇用があるとみられる。海南市は「関電から具体的な方針がない限りは、何とも言えない」と話す。

石油火力の縮小は全国的な流れだ。資源エネルギー庁が3月末に示した30年度の電源構成では火力の比率を16年度の83%から56%に減らす方針で、石油火力はこのうち3%になる。西日本では九州電力も川内原発(鹿児島県)の稼働で、低効率の石油火力3カ所の停止や廃止を決めている。ただ関電にとって原発停止時に同社を支えてきた火力の扱いは「そう簡単に決められる話ではない」(幹部)。乗り越えるべきハードルとなっている。

(川上梓)

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