2019年5月24日(金)

AIとピアノで「合奏」 銀座でヤマハ新技術体験

2018/5/9 12:00
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「一緒にピアノ弾かない?」「一緒にきらきら星を弾こうよ!」。ピアノの軽やかなメロディーと一緒に、スクリーンに投影された人工知能(AI)のイメージが目の前の人に語りかける。

ヤマハが開発した人工知能合奏技術「Duet with YOO」が、22日までヤマハ銀座ビル(東京・中央)で公開されている。人間が弾く「きらきら星」のメロディーに、AIが自動で伴奏をつける。希望すれば無料で体験できる。

演奏の強弱やテンポなどをAIが分析し、自動で伴奏をつけてくれる(東京都中央区のヤマハ銀座ビル)

演奏の強弱やテンポなどをAIが分析し、自動で伴奏をつけてくれる(東京都中央区のヤマハ銀座ビル)

「すごい。寄り添ってくれる感覚です」。千葉県八千代市に住む大学生の角野隼斗さん(22)は驚く。軽やかに弾くとリズミカルな、ゆったり弾くとスローな伴奏に。「演奏中にテンポや強弱を変えても合わせてきてくれる」(角野さん)

人工知能合奏はバーチャル(仮想現実)上の演奏者との合奏を目指してヤマハが開発中の新技術。演奏者が楽譜のどの部分を弾いているかや、速度、強弱、音の長さなどを解析し、AIが調和の取れる伴奏パターンを即座に判断して合奏する。

基盤としたのは2016年5月に披露した「人工知能演奏システム」。世界最高峰の楽団、ベルリンフィルのメンバーの演奏をマイクとカメラを使ってリアルタイムに検出・分析。ここに20世紀を代表するピアニストの一人と称された故スヴャトスラフ・リヒテルのタッチを再現したピアノの自動演奏を交え、現代の名演奏家と亡き巨匠の共演を実現した。

人工知能合奏技術はこれを一般向けに応用。演奏者は主旋律を弾くだけで重厚なハーモニーを奏でることができ、「初心者でもまわりからすごいといわれる演奏ができる」(研究開発統括部の前沢陽氏)のが特徴だ。

電子ピアノなどに搭載して将来はバーチャルな音楽教師がレッスンをしたり、演奏会で足りないパートをAIが補ったりと幅広い使い方が可能になるという。

中田卓也社長が折に触れて語る言葉がある。「楽器は手段ではなく目的物」。AIが難しい演奏をどれほどうまくこなしても、人が楽器を演奏する行為そのものの楽しみは失われないとの思いがある。

「AIは競争相手ではなく『共奏』相手。AIの手助けで楽しみが広がる」(中田社長)。せっかくなのでピアノ経験ゼロの記者も体験してみた。間違えつっかえの迷演奏も最後にはAIが褒めてくれる。少なくとも自分では名演奏に近づけたような気がした。(伊神賢人)

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