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98年度生まれ「黄金世代」 女子ゴルフ界をリード

プロ野球では高校からプロ入りして5年目の選手が大化けすることがよくある。これは即戦力を期待されてプロに入ってくる大学進学組の同級生に負けたくないという思いが強いから。プロ入りの年次より、甲子園を頂点とした高校野球の学年次でもって「同期」を強く意識する。1980年度生まれの「松坂世代」は「昭和55年会」を、高校時代は「ハンカチ世代」といわれた88年度生まれは田中将大(ヤンキース)らを中心に「88年会」を結成し、オフシーズンにも一緒に活動するなど公私とも付き合いが深い。

合格ラインが2アンダー、ハイレベルの89期

プロゴルファーにとって同期といえば、まずプロテスト合格年を指す。昨年7月のプロテスト合格者22選手は「LPGA第89期生」といった具合。とはいえ、ゴルフもジュニア時代から大会が目白押しで、そこで出会った全国のライバルとSNSなどで日々通じ合っている。同期といえば、同学年の仲間同士の絆が強くなっているようだ。

黄金世代の先陣を切って飛び出した三浦桃香(右)。アクサ女子で勝みなみと笑顔でピースサイン=共同

89期生のうち98年度生まれが11人と、半数を占めた。昨春高校を卒業し、プロテストに一発合格した選手たちだ。しかもそのプロテストは少なくとも2000年以降初めて合格ラインがアンダーパー(2アンダー)になるというハイレベルな戦いだった。新世代台頭の衝撃はすさまじく、98年度生まれの女子プロゴルファーをいま「黄金世代」と呼び習わす空気が生まれている。

プロルーキーイヤーの今季、まず飛び出したのが三浦桃香だった。3月、地元宮崎で開催されたアクサ女子で豪快なドライバーショットを武器に、初日66、2日目68をたたき出して首位を走り、最終日を最終組でプレーした。実は三浦はプロテストには合格していない。昨年5月に交通事故に遭った影響で練習不足がたたり、合格ラインに1打及ばなかった。今季はツアー予選会上位の資格で参戦している。こうした89期生になれなかったツアー参戦組の層が厚いのも黄金世代たるゆえん。

2日目に4位に浮上し、優勝争いに顔を出した4月のKKT杯バンテリン女子は、同学年の勝みなみがアマチュアだった15歳293日でツアー史上最年少優勝を果たした試合だった。三浦は「テレビで見ていた。みなみちゃんのおかげで私たちは伸びたし、黄金世代と呼んでもらえるのは彼女のおかげ」。黄金世代は事実上「みなみ世代」なのだという。

その勝は15歳でのツアー初優勝後、高校時代に日本ジュニア、日本女子アマ、日本女子オープンローアマのアマ3冠を達成した。常に注目されながらプロルーキーイヤーもアクサ女子3位、フジサンケイ女子5位など世代の旗手にふさわしい戦いぶりをみせている。ただ、勝の目標はあくまでも優勝。それも「4月までにプロ初優勝」を掲げたが、なかなか届かない。最終日6個のバーディーを積み上げながら、17番のダブルボギーで失速したフジサンケイ女子では「まだ優勝する時ではなかったのかな」と、無念さをのみ込んだ。

新垣比菜(中央)のツアー初優勝を勝みなみら同期が祝福した=共同

勝に先んじてプロ初優勝を決めたのが新垣比菜。4月のサイバーエージェント女子は初日から首位を走り抜く完全優勝だった。なかなか優勝の実感がわかない様子の新垣を歓喜の涙で祝福したのが勝と吉川桃、吉本ひかる、河本結の4人。新垣の優勝に一番泣いた勝はこう語った。「なかなか勝てない経験を同じようにしてきたから、気持ちがわかる」。なにより自身に課していたシーズン序盤での優勝という目標を、ともに頑張っている同期が達成したことに救われる思いだっただろう。

20年東京五輪を見据えて…

アマチュア時代の16年、プロとして臨んだ17年と日本女子オープンを連覇した畑岡奈紗も同じ98年度生まれだ。14年日本ジュニア(15~17歳の部)で、最終日6打差リードを勝にひっくり返されて優勝をさらわれたのを機にゴルフへの取り組みが一変し、それがいまにつながっている。「これから私たちの世代が日本を引っ張っていく」と宣言した昨年の日本女子オープン連覇でのスピーチは記憶に新しい。主戦場の米国から5月には一時帰国してワールドレディース・サロンパス杯に参戦。強行日程の疲れと闘いながら、黄金世代トップの11位だった勝と1打差の16位となり、国内メジャー今季初戦を盛り上げた。

勝は休む間もなく、8日の全米女子オープン日本予選(茨城県大利根CC東・西)に挑んだが、出場権獲得はならなかった。「一度海外に挑戦して、自分がどれだけできるか(実力を)測ってみたかった。また来年もチャンスはあると思う。まずは日本ツアーで頑張る」。目指すは新垣に次ぐプロ初優勝。その先に2020年東京五輪を見据えるのが黄金世代の共通目標でもある。中学3年の秋に20年五輪の東京開催が決まり、その翌年春に勝のツアー優勝で夢に目覚めたゴルファーたちなのである。

(串田孝義)

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