2019年8月26日(月)

一枚上手の相撲論(浅香山博之)

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引き技食う原因は稽古不足 落ちた力士が悪い

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2018/5/11 6:30
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5月13日に初日を迎える大相撲夏場所(両国国技館)で横綱鶴竜が初の連覇をめざす。4度目の優勝を飾った先場所は引きが目立ち、決まり手は13勝のうち6勝がはたき込みだった。とかく批判されがちな引き技について語ってみたい。

体が動いていたからこそ

春場所の鶴竜は優勝を決めた14日目の豪栄道戦もそうだったように、確かに引きが目立った。これを「いかがなものか」と批判的に言う人もいると思うが、引き技だけではそうそう勝てないのが普通だ。横綱が毎場所引いてばかりで、負けていたら確かに大問題だと思うが、先場所の結果は13勝2敗での優勝。鶴竜は立ち合いから当たって押し込んでいるように見えたし、よく体が動いて反応もよかったからこそ、流れの中で出た引きを相手も食ったのではないか。引きは一気に押し返されるリスクもある。そのなかであそこまで引きで勝てたというのは、たいしたものだとさえ思う。絶対的に引き技が悪いとは言えない。100%完璧な相撲で勝てる日はなかなかないし、そうした引きでの白星が15日間を終えたときに大きな成果にもつながるのだ。

先場所の横綱鶴竜(奥)は優勝を決めた豪栄道戦もはたき込みだった=共同

先場所の横綱鶴竜(奥)は優勝を決めた豪栄道戦もはたき込みだった=共同

引き技で勝負がついた場合、引いた方の力士を批判する人は多いと思う。ただ自分はどちらかと言えば、引かれて落ちた方の力士が悪いという印象がある。引きが決まりやすい場面を挙げると、(1)腰が高くて上体だけが前に行っているとき、(2)足が前に出ていないとき、(3)手を下からではなく上から使っているとき、など、自ら「引いてくれ」と言っているような体勢ばかりだ。いわば相撲の基礎がおろそかになっているから引き技を簡単に食ってしまう。日ごろの稽古が不足しているということなのだ。

稽古場で「引け!!」と指導する親方は一人もいない。わざわざ教える必要はないし、自然に力士は引き技を覚えてしまうから、親方は口酸っぱく「前に出ろ!!」と大声をあげ続けるのだ。前に出る稽古を繰り返すことで相手は引いてくれるようになるし、その引きにも付いていけるようになる。だから相手に引っ張られながら足を出す、ぶつかり稽古は特に大事なものだ。押す力、前に出る力をつければ、引き技はなかなか食わないはずなのである。

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