京都市左京区の南禅寺でのどの痛みなどを訴えた拝観者らが搬送された異臭騒ぎで、市は7日、現場周辺で当時、市の委託業者が動物撃退用のスプレーをまいていたと明らかにした。
捜査関係者によると、スプレーには辛み成分のカプサイシンが含まれていた。京都府警は、業務上過失傷害容疑を視野に捜査を進めている。
市は獣害対策として、南禅寺周辺に防護柵やカメラを設置。4月下旬にイノシシが写っていたため、委託業者が今月2日、現場を確認。イノシシが柵の下に掘った穴を見つけ、同日午前11時20分ごろ、業者の判断でスプレーを使ったとしている。
市は「刺激臭の原因特定には至っていないが、市街地近くでの刺激の強いスプレーの使用は不適切であり、業者には強く指導した」としている。
異臭は2日午前に発生。拝観者ら24人がのどの痛みなどを訴え、4人が搬送された。2日は拝観を見合わせたが、不審物が見つからず、文化財への被害もなかったことから、3日に再開した。
南禅寺の担当者は「人間のやることなので、あまり責めるつもりはない。今後はしっかり安全にやってもらいたい」と話した。
1291年開山の南禅寺では、方丈が国宝に指定されているほか、三門や勅使門が重要文化財となっている。〔共同〕