2019年2月23日(土)

マハティール氏、下院選勝利へ地方票の壁 9日投開票

2018/5/6 19:09
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マレーシアの連邦議会下院選挙は9日の投開票日に向け、終盤戦に入った。最新の世論調査で与党連合・国民戦線と支持率が拮抗するなど、マハティール元首相が率いる野党連合・希望連盟は勢いづいている。ただ、1957年の独立以来、初となる政権交代を果たすには、議席が手厚く配分されている地方でさらに票を上積みする必要がある。

マハティール氏の演説を聞く支持者(3日、クアラルンプール)

マハティール氏の演説を聞く支持者(3日、クアラルンプール)

5月3日夜、政府機関が集まるクアラルンプール近郊のプトラジャヤ。野党連合が開いた集会でマハティール氏と共に、推計4000人の支持者から大歓声を浴びた人物がいた。マレーシア北東部のクランタン州議会選に出馬するニック・オマー氏。15年に亡くなるまで、イスラム主義政党、全マレーシア・イスラム党(PAS)のカリスマ的指導者だったニック・アジズ氏の息子だ。

ニック・オマー氏が今回の選挙で、父がかつて率いていたPASではなく、野党連合に寝返ったことはマレーシア政界に衝撃を与えた。ニック・オマー氏が今なお父を慕うイスラム教徒の票を呼び込んでくれば、野党連合の支持層は従来中心だった都市部の中華系に加え、地方の保守的なマレー系にまで広がる。

野党連合の幹部は「プトラジャヤにはクランタン州出身の官僚が多く働く。彼らの心に訴えることができれば、全土への波及効果が期待できる」とニック・オマー氏を呼び寄せた狙いを明かす。

世論調査機関ムルデカ・センターの5月1日時点の調査では、野党連合を支持すると答えた人の割合は32%。4月中旬時点に比べマレー系からの支持率が高まっており、支持率で与党連合(支持率33%)との差を一段と縮める原動力になった。今回の総選挙はPASが野党連合に加わっていないため、野党支持層の票が野党連合とPASに割れることが懸念されていたが、今のところその影響も軽微にとどまる。支持率だけをみると、政権交代が現実味を帯びてきているようにみえる。

ただ、野党連合は前回13年の総選挙でも、得票率では与党連合を上回っていた。それでも与党連合が過半数を制したのは、人口の約7割を占めるマレー系が多い地方で議席を多く獲得したためだった。野党連合が今回議席数でも過半数を得るには、地方の議席を与党連合から奪うことが欠かせない。だが、一部の州ではなお支持が浸透していない。

青色の与党連合の旗と緑色のPASの旗が目立つコタ・バル郊外。野党連合の影は薄い(4日)

青色の与党連合の旗と緑色のPASの旗が目立つコタ・バル郊外。野党連合の影は薄い(4日)

マレー系が人口の9割以上を占めるクランタン州。州都のコタ・バルを訪れると、目立つのは与党連合の青色の旗とPASの緑色の旗ばかり。野党連合の旗はまばらで、存在感の薄さを何よりも示していた。

クランタン州の与党連合の選挙を仕切るムスタパ貿易産業相は4日、日本経済新聞の取材に、「与党連合とPAS以外の政党は、はえや蚊のように取るに足らない存在だ」と、野党連合の躍進の可能性を一蹴した。ムスタパ氏はグーグルの地図にも表示されない農家を回る徹底したどぶ板選挙で、PASの牙城であるクランタン州での勝利を目指す。選対関係者によると、この日ムスタパ氏が選挙活動を終えたのは翌日の午前3時だった。

恐らく今回が最後の出馬となる92歳のマハティール氏も負けていない。3日のプトラジャヤでの集会で40分に及ぶ演説を終えたマハティール氏が会場を離れたのは、23時56分だった。マハティール氏は投票日前日の8日午後10時から、ランカウイ島で選挙演説をする予定だ。交流サイト(SNS)で中継し、1000万人の有権者の視聴を目指すという。政権交代をかけた与野党の戦いは、9日の投票日直前まで終わらない。

(クアラルンプール=中野貴司)

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