禁教期の宗教文化を評価 「潜伏キリシタン」世界遺産へ

2018/5/5 1:38
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江戸時代のキリスト教弾圧の中で信仰を続けた潜伏キリシタンの歴史を伝える「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本)が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録される見通しとなった。身近な道具を祈りの対象とし、信仰のために無人島に移り住むなど、禁教下で独自の発達を遂げた希少な宗教文化が評価された。

潜伏キリシタンの関連遺産は計12件。「始まり」「維持、拡大」など4つの期間に区分される。1637年に起きた島原の乱で武装蜂起したキリシタンらが拠点とした「原城跡」(長崎県南島原市)は「始まり」期の資産だ。

「形成」期の「天草の崎津集落」(熊本県天草市)では信仰を隠すため漁具や貝殻を祈りの対象とするなど、漁村の生活に合わせて信仰が変化した。維持、拡大期の「頭ケ島の集落」(長崎県新上五島町)は未開の離島に移住した人々がいたことを示す。仏教寺院で観音像をマリア像に見立てるなど、弾圧を逃れて信仰は続いた。

世界文化遺産への登録勧告が決まり、観光客でにぎわう大浦天主堂(4日、長崎市)

世界文化遺産への登録勧告が決まり、観光客でにぎわう大浦天主堂(4日、長崎市)

現存する国内最古の教会、「大浦天主堂」(長崎市)は4番目の「変容、終わり」期に当たる。同天主堂が幕末の開国後にできると、多くの潜伏キリシタンが来日した宣教師らに自らの信仰を告白した。

ユネスコの諮問機関は一部資産の区域変更を求めたものの、遺産全体の価値を「禁教期にひそかに信仰を続けた独特な伝統の証拠」と評価した。

文化審議会は13年にも「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の推薦を決めたが、政府は競合した「明治日本の産業革命遺産」を推薦。16年は政府の推薦を受けたが、諮問機関に内容の不備を指摘されて勧告前に推薦を取り下げ、挫折が続いた。いわば「三度目の正直」で世界遺産登録を大きく引き寄せた。

政府は19年の世界文化遺産の審査では「百舌鳥(もず)・古市古墳群」(大阪)を推薦している。

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