2019年6月17日(月)

ニッポンの森 再び輝く道(熱撮西風)

2018/5/15 2:00
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長く輸入材におされてきた国産木材が新建材やバイオマス発電の燃料などに使われ始めた。国内の人工林面積は約1029万ヘクタールで国土の約30%に相当する。樹齢50年以上のスギやヒノキが伐採時期を迎えるなか、西日本の森林資源への期待が膨らむ。

昨年9月に開園した京都府長岡京市の西山井ノ内保育園では壁や2階床に新しい建材の直交集成板(CLT)が使われている。CLTは板の繊維方向を交差させて何層も重ね、強度を高めた建材で、曲がりなどのある木材も利用できる。木の柔らかい印象と合わせ、子供たちが跳びはねる施設でも好評だ。「10階程度のマンションの床や壁にもCLTは使える」と京都大学生存圏研究所の五十田博教授は話す。

元気に走り回る子供たち。2階床材などはCLTだ(京都府長岡京市)

元気に走り回る子供たち。2階床材などはCLTだ(京都府長岡京市)

海外では1995年ごろから使われ、国内では2016年の法整備で利用が始まった。岡山県真庭市の銘建工業は高知や岡山のスギやヒノキで大型パネルを製造する設備を整え、試験的に台湾へ輸出も行った。

銘建工業は最大で長さ12メートルの大型パネルを製造できる(岡山県真庭市)

銘建工業は最大で長さ12メートルの大型パネルを製造できる(岡山県真庭市)

昨年完成した兵庫パルプ工業(兵庫県丹波市)の木質バイオマス発電設備では、クレーンが24時間稼働する。近畿や中国地方の間伐材や建設廃材からできた燃料を一度に6トン運ぶ。出力は2万2100キロワットで約4万4千世帯分の年間消費電力をまかなう能力がある。電気は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で電気事業者に売る。

兵庫パルプ工業の木質バイオマス発電設備で24時間稼働する「ひとつかみ」6トンの大型クレーン(兵庫県丹波市)

兵庫パルプ工業の木質バイオマス発電設備で24時間稼働する「ひとつかみ」6トンの大型クレーン(兵庫県丹波市)

4月、奈良県川上村の小久保木材店は手入れされた山林からヘリで木材高級品の吉野ヒノキを搬出した。この日、運び出されたのは樹齢120年のもの96本で、建築用に出荷される。近年、木材需要が低調だが根強い人気に支えられヘリを飛ばしても採算が取れるという。吉野地方の人工造林は1500年ごろから続くといわれる。

ヘリで次々と運ばれる吉野材の丸太(奈良県川上村)

ヘリで次々と運ばれる吉野材の丸太(奈良県川上村)

(大阪写真部 小川望 淡嶋健人)

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