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ぶれずに決断 難路に踏み出すイチローの覚悟
スポーツライター 丹羽政善

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2018/5/4 15:35
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5月2日(日本時間3日)の試合。「9番・左翼」でスタメン出場したマリナーズのイチローは最後までフィールドに立ち続けた。

このこと自体、異例。今季は先発出場しても、終盤に守備固めで交代させられることが多かったからだ。

イチローがベンチ入りメンバーの25人枠から外れ、会長付特別補佐に就任することが発表された3日午後。記者会見が終わってから数人の記者でスコット・サービス監督を囲んだ。「昨日の試合でイチローを交代させなかったとき、変だなと感じた」と伝えると、「そのことを聞かれなくてよかった」と監督は苦笑した。

いや、もちろん、前日の夜に聞いてもはぐらかされたに違いない。

監督らは知っていたのだから。イチローにとって、今季最後の試合になることを。

「終盤の八回、一瞬、代えることが頭をよぎった。でも、マニー(・アクタ=ベンチコーチ)の方を見ると、なんでだ?というような表情だった。彼も知っていたからね。そうしたら九回1死一、二塁という同点のチャンスでイチローに打席が回ってきた。願うような気持ちだった。試合というよりイチローのために」

少人数だけが知っていた

あのとき、ネクスト・バッターズ・サークルにいたディー・ゴードンも同じような思いでイチローの背中を見つめていた。

「知っていたんだ」

誰からどう聞いたのか。それ以上は明かそうとしなかったが、今回のことはジェリー・ディポト・ゼネラルマネジャー(GM)も「ある事情があって、少人数の人しか知らなかった」と濁している。

「知っていたのはイチローはもちろん、ジョン(・スタントン筆頭オーナー)、代理人、イチローの通訳、監督ぐらいじゃなかったかな」

今季はもう試合に出場せず、フロントオフィスの一員として選手をサポートする。しかし、来季復帰する可能性を否定しない――といった異例の方向性そのものは今週の月曜日、4月30日に行われた話し合いで決まったという。

しかし、すべてが極秘裏に進められ、知っているのはチームメートの中でも本当にイチローに近い人間だけに限られたよう。よってあのとき、特別な思いで打席を見守っていた人も限られたが、それはそもそもイチローが望んだことではないだろうか。

記者会見で「今季最後の試合にどう臨んだか」と聞かれるとイチローは言った。

「事実は理解しながらやってましたけれど、周りから見たときに、何か違うなぁって思われるのは僕は一番したくない」

余計な気を使われることを嫌うイチローらしい言葉だった。

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