2019年6月27日(木)

「金型ニッポン」再興、逆風EV転じて勝機

(1/2ページ)
2018/5/7 6:30
保存
共有
印刷
その他

日本の金型産業が再興へのろしを上げた。金型の生産額は2017年にリーマン・ショック前の水準まで急回復。エンジンがなく、出番が減るとみられた電気自動車(EV)向けでしたたかに稼ぐメーカーも現れた。かつて斜陽産業とされたこともある日本の金型ビジネス。なお成長を遂げようと得意の技を磨き、変貌を遂げる金型産業の最前線に迫った。

■国内外の自動車大手が採用

見向きもされなかった技術を研ぎ澄まし、自動車メーカーから信頼を勝ち取った金型メーカーが愛知県にある。KTX(愛知県江南市)だ。野田太一社長は「うちの技術に対する顧客の見方が大きく変わった」と話す。過去3年で2割増収の急成長を支えるのは、表面に無数の穴が空いた「ポーラス電鋳金型」だ。

精度の高い金型は日本のお家芸だ(KTXの「ポーラス電鋳金型」)

精度の高い金型は日本のお家芸だ(KTXの「ポーラス電鋳金型」)

この金型を光にかざすと、表面に空いた0.1ミリメートルの微細な穴を通して満天の星空のようにキラキラと光が漏れ輝いた。穴は反対側に向けてすり鉢状に広がっている。成型する際は加熱して柔らかくなった樹脂を金型の上に置き、反対側から穴を通して空気を吸い込んで密着させる。

米自動車大手、フォード・モーターが認めたことで人気に火がついた。ヒトの指紋やもみじの葉脈まで再現できる精度と軽量化が売り物。大型の3ナンバー車のインパネ表面なら4キログラム程度が2キロ程度と従来の約半分で成型できる。世界中のインパネを調査したフォードが白羽の矢を立て、今では自動車大手の大半が同社製の金型を使う。

■リーマン前水準を回復

経済産業省の機械統計によると、2017年の金型生産額は4200億円あまりと08年のリーマン・ショック前の水準まで急回復した。事業所数は05年から14年までの10年間で2割減り、8000カ所を割り込んでいる。激しい受注競争の果てに生き残ったメーカーは得意の技術を磨き、したたかに事業を伸ばそうとチャンスをうかがう。

金型の生産額は急回復が目立つ

金型の生産額は急回復が目立つ

ウッドベル工業(東京都瑞穂町)は同業のかねひろ(東京都多摩市)を買収した。電動車の普及でセンサーや電動品の比率が増え、自動車向けコネクターも精密化が進んでいる。EVやプラグインハイブリッド(PHV)もハイブリッド車も、燃費規制に縛られる次世代車は軽量化が命。同社の技術がフルに生きる。

日本経済新聞社が17年度末に実施した第16回金型調査によると、18年度の設備投資を「増やす」と答えた企業は41社と全体の33.1%で「減らす」の5倍近くに上った。

金属の引き抜き加工が主力の大伸ダイス工業(大阪市)は18年度は超硬合金の仕上げ機械を導入、手作業だった研削も機械化し、従業員を2人増やす。客先の引き抜き加工メーカーが60年代をピークに減っており「何回も廃業していく企業を見てきた」と川島幸大社長。「明日は我が身」の危機感が経営者を積極投資へと駆り立てる。


  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報