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日本馬は強い? 京都やシャティンからの警鐘

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2018/5/5 6:30
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「日本馬が強くなった」といわれ出して久しい。アラブ首長国連邦・ドバイや香港の国際競走で1日に複数のG1勝ち星をあげるかと思えば、欧州の最高峰、凱旋門賞(仏G1)でも善戦を重ね、一時は「どの馬がいっても勝負になる」という雰囲気さえ漂った。だが、ここ1年の流れを見ると、事はそう簡単ではない。折しも、4月29日に京都で第157回天皇賞・春(G1・芝3200メートル)が行われ、2時間後の香港・シャティンのクイーンエリザベス2世カップ(同・芝2000メートル)に、日本のアルアイン、ダンビュライトという4歳牡馬2頭が挑んだ。だが、天皇賞・春は優勝タイムが前年より3秒7(約23馬身相当)も遅い低調な決着。香港ではアルアインが8頭中5着、ダンビュライトが7着という完敗を喫した。この結果、日本馬は前年のクイーンエリザベス2世カップ(優勝ネオリアリズム)から1年、海外勝利がない状態となった。天皇賞・春の低調ぶりも、国内の競走体系が抱える問題点を露呈させた意味では看過できず、日本馬の競争力について再考を迫る結果である。

13年ぶりの低レベル決着

春の天皇賞を制したレインボーライン(手前)=共同

春の天皇賞を制したレインボーライン(手前)=共同

まず天皇賞・春を振り返る。ヒュー・ボウマン騎乗で1番人気のシュヴァルグランが早めに先頭に立つ強気の戦法で抜け出したところを、仕掛けを一拍遅らせた2番人気のレインボーラインが直線で進路を探しながら脚を伸ばし、最後は首差でかわした。3着も4番人気のクリンチャーと、混戦の前評判の割に順当な決着だった。

問題はタイムで、2017年のキタサンブラックの走破タイムより3秒7遅かった。17年は驚異的なレコードだったから、比較の対象として不適切だが、良馬場の天皇賞・春が3分16秒台で決着したのは、05年(優勝スズカマンボ=3分16秒5)以来。その後の12回中、1度のやや重(11年=3分20秒6)を除くと全て良馬場で、17年のレコード以外は3分13秒台が2回、3分14秒台と15秒台が各4回だった。4月22日のG2、マイラーズカップ(芝1600メートル)でレコードの1分31秒3(従来の記録を0秒2短縮)が出たから、馬場も悪くなかった。

今回の低調さは前半の1600メートルの通過タイムを見れば一目瞭然だ。前記の通り、06年以降で3分15秒台の決着は4回あったが、いずれも前半が後半より遅かった。今回の前半1600メートルは1分37秒6で、14年と全く同じだが、当時のタイムは3分15秒1。今年より1秒1も速い。今年の場合、1400メートル地点を過ぎてから急にラップが落ちたのだが、終盤になってもラップが上がらないバテ比べとなり、前半より後半の方が1秒も遅く、最後の600メートルは35秒9。シュヴァルグランを追い越すかに見えたクリンチャーが、最後は半馬身差で屈した場面が象徴的で、日本馬の最大の長所とされる芝の速い馬場での瞬発力がこのレースでは見られなかった。

今回は戦前から、「史上空前の低レベル」という声が聞かれた。G1勝ち馬はシュヴァルグラン1頭。前年、人気を分けたキタサンブラックは引退し、サトノダイヤモンドは出走回避。4月1日のG1、大阪杯経由で参戦した馬はシュヴァルグランを含めて3頭だが、最高はスマートレイアーの9着。ところが、当時13着のシュヴァルグランが今回は2着。適性や状態面の差はあれ、3000メートル級路線の質の低さ抜きには説明がつかない。

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