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苦難のロケットMOMO 期待はしぼまず

ロケット開発のスタートアップ、インターステラテクノロジズ(北海道大樹町)が苦戦している。観測ロケット「MOMO(モモ)」2号機の打ち上げを4月28日から5月5日の間に予定していたが、機体に不具合が見つかり夏以降に延期することになった。2017年7月の初号機の打ち上げ失敗に次ぐ「不発」。宇宙への道の険しさが改めて浮き彫りになったが、関係者の夢と期待はしぼんでいない。

「機体搭載バルブ駆動用窒素ガスの圧力が異常値を示したため、打ち上げ準備手順を中止し逆行手順に入ります」。4月29日午前5時前、この日の打ち上げ中止を知らせるアナウンスが大樹町の見学会場にこだました。

「次こそは成功してほしい」「直前で強行しない姿勢はすばらしい」「拙速じゃなく巧遅。じっくり準備してほしい」。集まっていた観客や関係者に話を聞くと、落胆より期待が大きい。前日の28日午前に打ち上げが延期され、再指定されたスケジュールは早朝。何時間も待ちぼうけを食らったはずだが、前向きな意見が多いのは、多くの観客が「ホリエモンファン」だからだ。

インターステラは実業家の堀江貴文氏が創業から携わる。同氏が日ごろから公言する「身近な宇宙ビジネス」という夢を形にするためのスタートアップという側面もある。開発中のMOMOは全長10メートル、20キログラムの搭載物を宇宙空間に運べる仕様だ。民間企業が単独で開発したロケットが宇宙空間に到達すれば、日本発の快挙で、関係者の期待は大きかった。

不具合はロケット内部に発生し、窒素ガスの圧力が下がっていた。窒素ガスはエンジンに燃料を送り込むためのバルブ(栓)の開閉などに使う。その配管に「想定外」(堀江氏)の設計ミスがあり、ガスが漏れ出ていたという。29日の中止を経て30日に打ち上げを目指すとしていたが、やはり30日も状況は改善せず断念に至った。

開発段階のロケットは不具合や失敗がつきものだ。米航空宇宙局(NASA)も、宇宙航空研究開発機構(JAXA)も開発段階の実験機の失敗を積み重ね、信頼性が高いロケットを作り出してきた。稲川貴大社長が29日の記者会見で述べた「技術屋としては早めに不具合が見つかってよかった」という言葉に、その苦労がにじむ。

ただ、官制宇宙機関と民間スタートアップでは事情が異なる。技術開発に充てる資金面や人材面で宇宙機関とスタートアップは比較にならない。米スペースXや米ブルーオリジンなどは、有力ベンチャーキャピタル(VC)などからの投資で開発を続けてきたが、それができるのはごく一部に限られる。

だからこそ、知恵を使って夢を実現しようとするインターステラには期待と注目が集まる。独自技術と民生部品の活用でコストを抑えるという知恵だけではない。機体を広告スペースとして活用しスポンサーを集める。クラウドファンディングで一般から資金を募る。これらは堀江氏が広告塔として前面に出ていることで実効性が上がる知恵だ。

次のMOMOの打ち上げスケジュールは、18年夏以降。さらに、観測ロケットの他に超小型衛星打ち上げ用のロケットの開発も並行している。

小型衛星打ち上げビジネスは、1月に米ロケットラボがニュージーランドを拠点に衛星打ち上げを成功させた。2月にはJAXAロケットも衛星の軌道投入に成功し、キヤノン電子などがこのロケットを応用したビジネスの会社を設立した。インターステラは、独自開発企業として業界で存在感を示せるか。正念場の夏はすぐそこだ。(矢野摂士)

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