2018年9月26日(水)

米中、ハイテク摩擦の攻防へ 3~4日に高官協議
中国、貿易赤字圧縮では譲歩の用意も

2018/5/1 19:02
保存
共有
印刷
その他

 【ワシントン=河浪武史】ムニューシン米財務長官ら米閣僚は3~4日に訪中し、通商問題を巡って協議する。500億ドルの中国製品への高関税と中国通信大手への制裁措置で二重の圧力をかける米側に対し、中国は自動車や金融分野の市場開放を表明。貿易赤字圧縮でのさらなる譲歩も用意する。ただ米側が攻め込む通信・ハイテク分野での妥協は拒んでおり、米側の思惑通りとなるかは見通せない。

 ホワイトハウスは4月30日、ムニューシン氏のほかライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、ロス商務長官ら閣僚がそろって訪中すると正式発表した。中国側は劉鶴副首相らが出席する見通し。貿易不均衡や知的財産問題を巡り米中双方が制裁と報復の応酬を繰り広げて以降、初のハイレベル協議となる。

 米中外交筋によると、中国側は協議をにらみ、航空機や半導体、天然ガスなどの輸入増をトランプ政権に提示し、貿易赤字を1000億ドル削減するための数字の積み上げを急いでいる。中国は目先の同国景気が下振れしかねない制裁関税の回避を優先。ハイレベル協議も一時は慎重だったが、摩擦回避へ協議開催を受け入れた。

 もっとも、米中摩擦は単なる貿易赤字問題にとどまらない。「米国が本気で警戒しているのは中国製造2025だ」。ホワイトハウス高官はこう明言する。中国製造2025は習政権の産業政策で、産業ロボットなど10分野を指定して重点投資して「世界の工場」である中国製造業を大きく高度化する政策だ。

 ホワイトハウスで通商政策を担当するナバロ大統領補佐官は「中国は人工知能(AI)や自動運転など未来の産業の支配をもくろんでいる」と目の敵にする。同氏は知的財産権の侵害で対中制裁に動いた張本人で、米中外交筋は「貿易赤字削減だけでなく、米国は中国製造2025計画の撤廃を求めている」という。

 元大学教授のナバロ氏は中国のハイテク分野での台頭を放置すれば、将来は米中が武力戦争にすら突入しかねないと考える強烈な反中論者だ。ナバロ氏はトランプ氏の指名で今回の訪中団に加わり、米中協議は軍需産業を含むハイテク摩擦の色彩が強まってきた。

 「中国通信大手への制裁はかなり効いた」。米中外交筋は米当局が4月16日に発表した中興通訊(ZTE)との米企業の取引禁止措置が、中国政府への強い圧力になったと指摘する。ZTEの経営が揺らぎかねず、同最大手の華為技術(ファーウェイ)も制裁対象になる可能性がある。

 11月に中間選挙を控えるトランプ政権。中国に目に見える成果を求めるが、中国側が用意するのは目先の貿易不均衡の解消策にとどまりそうだ。米側が求める「中国製造2025」の見直しは拒否するとみられ、3~4日の米中協議は平行線に終わる可能性がある。

 貿易摩擦を巡る米中交渉の行方は6月初旬までに予定する米朝首脳会談にも影を落とす。首脳会談の焦点となる朝鮮半島の非核化や朝鮮戦争の休戦協定の平和協定への切り替えなどは中国の関与が不可欠だからだ。このため米政府内には「中国側は一連の通商協議に北朝鮮問題も絡めてくる可能性がある」との指摘もある。

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報