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「どんな人になりたい?」と聞く意味は(面接道場)

就活生の皆さん、こんにちは。人材研究所(東京・港)の曽和利光です。就活も佳境を迎えているころだと思います。今回の質問は「あなたは将来どんな人になりたいですか」です。よくある質問ですが、面接官はどんな意図で聞いているのでしょうか。面接道場に集まってくれた3人の就活生と一緒に考えていきましょう。

「言葉のキャッチボール」はできないと考え、伝えたいことを言い切ろう
今回の参加者
松本弘太郎さん
(中央大学経済学部4年)
高田彬さん
(星薬科大学薬学部5年)
松川拓哉さん
(明治大学政治経済学部4年)

曽和さん:まず、松本さんに聞きます。将来どんな人になりたいですか。

松本さん:周りから信頼される人間になりたいです。信頼されることは価値のある人間になることだと思います。お客様からお金をもらう以上、サービスや価値の向上が求められるので、そこでその信頼を重ねることが重要だと思います。

曽和さん:確かに質問に答えたことになってはいますが、これでは面接官が知りたい情報量を満たしていません。もう少し言えますか。

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松本さん:そうですね……。会社の中の一人ではなくて、「あそこには松本がいるから仕事を頼もう」と言われるような人間になりたいです。以上です。

曽和さん:まだ不十分ですね。面接官が聞きたいのは「なぜ信頼される人間になりたいか」という理由です。

松本さん:面接の講座を受けたとき「話しすぎないほうがいい」と言われました。しゃべりすぎない方がいいような気がして……。

曽和さん:なるほど。面接のノウハウとして「言葉のキャッチボールをしたほうがいい」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは半分ホントで、半分ウソです。面接官が知りたい情報を伝えるのが面接の目的です。

スキルが高い面接官なら情報を小出しにしても聞き直してくれるかもしれません。でも全ての面接官がそうとは限りません。あまり突っ込んだ質問をしない面接官の場合、十分な情報を伝えられないまま面接が終わってしまう可能性がありますよ。

松本さん:ゼミで中国人観光客について研究しました。ゼミ生みんなで街頭に出て合計1000人にアンケートをとることになりました。毎週末銀座に通い、私はゼミ生の中で一番多い212人に聞きました。「よく頑張っている」と先生に評価され、ゼミ内での発言権が強くなりました。人に認められることによって、自分の力を発揮できるのではないかと思いました。

「5回」自問しよう

曽和さん:まだ「なぜ」が足りません。松本さんはなぜ発言権が強くなりたいのですか。松本さんの考えが「根っこの生えた思い」なのか、それとも「ただ何となく思っているだけ」なのかを面接官は見極めようとしています。そのとき有効な方法が「5whys」です。「なぜ」を5回を繰り返すと真実にたどり着けるというものです。

松本さん:口先より行動で示したほうがいいと思うからです。高校時代に野球部に所属していましたが、キャプテンは練習に一番遅く来て、グラウンド整備もしない人でした。私はそういう人について行きたくないなと思いました。なのでキャプテンに改善してほしいと伝えました。するとキャプテンは聞き入れてくれて、きちんと練習に参加してくれるようになりました。監督やチームメートの間にも信頼関係が生まれ、チーム全体がとてもいい雰囲気になり、よい戦績を上げられるようになりました。

曽和さん:とても良くなりました。そんな風に「なぜ、なぜ……」としっかり掘り下げてみてください。では次は高田さんです。将来どんな人になりたいですか。

高田さん:熱意を持って仕事をする人です。きっかけはテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見て、最終的に成果を出す人は、仕事に情熱を持ち、継続的に取り組む人だと思ったからです。

曽和さん:うーん、ちょっと軽い感じがしますね。これでは、パッとそのとき見たものに流されて長続きしない人、という印象を与えてしまいます。本当はもっと深い理由があるんじゃないですか。

高田さん:小学生のころからサッカーをやっていました。足も速かったのでそれほど熱意を持って取り組まなくても都大会にも出られる実力がありました。中学に上がる時にクラブチームに所属することも考えましたが、勉強に専念するために諦めました。

でも高校生になると再びサッカー熱が高まって学校の部活に入りました。Bチームでしたが、悔しくて真剣に練習に取り組んで、高2の夏にAチームに上がることができました。熱意を持つことで結果を出せるということを実感しました。

曽和さん:良くなりましたが、まだまだ5whysで掘り下げられそうですね。

「あなたはどんな人になりたいですか」という質問は、実は面接官はなりたいものそのものを聞きたいのではなく、なりたいものを通じて、皆さんの人となりを知りたいのです。そのことを忘れないでください。

それから面接は短時間で終わってしまうので、どんな質問もチャンスだと思ってください。隙があれば、自分の人となりに関する情報をどんどん詰め込んでいきましょう。

「how」で本気度を示す

曽和さん:では松川さん、お願いします。

松川さん:私は相手の立場に立って話ができる人になりたいと考えています。理由は私が尊敬する高校時代の先生がそうだからです。30歳以上も年齢が違うのですが、生徒と一緒にふざけたり親身になって相談に乗ってくれたり、そういうところが多くの生徒に慕われています。働く上で相手の立場に立っていい関係を築くのは欠かせないことだと考えています。

なりたい将来像に向けて、どんな努力をしているかが大切

曽和さん:そういう風になるためには、どんなことをすべきだと思いますか。

松川さん:自分が相手ならどう思うかを常日ごろ考えることが、そういう能力を持つための条件かなと思います。

曽和さん:それでは答えになっていませんね。例えば本当に欲しいものがあったら、それを手に入れるためにあらゆる手段を尽くすはずです。尽くさないなら、本気度が低くて「そこまで欲しくない」と思われてしまいますよ。

それと同じです。なりたいものになるには、どうしたらなれるのか。どんな努力をしているのか。面接官は「how」の部分も聞きたいのです。何か実際にやっていることはありますか。

松川さん:留学生をサポートするボランティアを経験しました。私自身海外で働きたいという思いがあり、海外の人がどういう考えを抱いているのかを知ることができました。

曽和さん:どんなことが身につきましたか。

松川さん:価値観の違いを一番強く感じたのは、東南アジアの学生と接した時です。日本人がよく言う「何でもいいよ」という発言は、相手からすれば「興味がない」と受け取られるということを学びました。そういうことから海外の人とコミュニケーションするときは、しっかり意思表示しようと思いました。

曽和さん:だいぶ良くなりました。強い信念は、単に理屈を考えただけで身につくことはありません。経験や置かれた環境によって磨かれます。自分のこれまでのライフヒストリーを振り返ってほしいですね。

おさらいをしますと、「将来どうなりたいか」を聞かれたときは、「なぜ」というwhyを自問すること。そして、「どうしたらなれると考えているのか」「どんな努力をしているのか」というhowの部分を具体的に話すことです。「なりたい気持ちは本当なのだ」ということを示すことで、面接官に皆さんの人となりを伝えることができるのです。

曽和利光(そわ・としみつ)1971年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て、2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に「就活『後ろ倒し』の衝撃」(東洋経済新報社)など。

(構成 鈴木洋介)

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