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イチロー、理不尽なブーイングを吹き飛ばせ
スポーツライター 丹羽政善

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2018/4/30 6:30
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米大リーグ、ヤンキースの元主将で、現在マーリンズの最高経営責任者(CEO)である、あのデレク・ジーター氏でもキャリア中盤に深刻な不振に陥ったことがある。2004年4月20日の2打席目から数えて、2つの犠牲バントと3つの四球を挟んで32打数ノーヒット。無安打は7試合に及んだ。すると途中から、ヤンキースタジアムでさえ凡退のたびにブーイングが響くようになった。

そうした最中、同26日付の米紙ニューヨーク・タイムズにジョージ・ベッシー記者のこんなコラムが載った。

「もっと敬意払うべきではないか」

「もし私がヤンキースのフロントの人間なら、何度も彼のこれまでの好プレーをビデオスクリーンに流すだろう。3年前のプレーオフでみせたオークランドでの奇跡的な守備を見せるのもいいかもしれない。ひょっとしたら、ファンが忘れているかもしれないので」

ノンフィクション作家としても多くの著作がある彼は「ファンにはブーイングの権利がある。お金を払っているんだから。でも、自分が打てなくてもチームメートを励まし、犠牲バントを決めたチームメートが戻ってきたとき、真っ先にハイファイブ(ハイタッチ)で出迎えても?」と続け、最後にこう結ぶ。

「ジーターがこれまでにしてきたことを考えれば、ファンはもっと敬意を払うべきではないか。シーズンチケットを持つファンも、初めてのファンもこれだけは知っておいたほうがいい。It is really dumb to boo Derek Jeter. (デレク・ジーターにブーイングをするなんてばかげている)」

ベッシー記者は知らない人ではない。1960年から新聞記者をしている彼には、多くのことを教わった。温厚で知的、そしてユーモアもある。そんな人が最後に厳しい言葉でファンを責める。今回、改めて読み返してみたが、初めて読んだときの衝撃がよみがえるとともに、あれを書くに至った原動力がわかるような気がした。

今、イチローをめぐって、地元メディアから厳しい声が上がっている。

4月22日、控え外野手のギレルモ・ヘレディアがマイナーに降格すると、ロースター(メジャー出場選手登録の25人枠)から外れるのはなぜイチローではないのかなどと、ジーターと同様、地元球団の功労者に対して無神経な言葉が飛び交った。

なにも降って湧いた話ではない。正左翼手のベン・ギャメルが復帰すれば、外野が5人になる。そうなれば当然、調整が必要になる。だとしたら、対象はイチローではないか――とささやかれてきた。

彼らの主張をざっとまとめるとこうなる。

・ディー・ドーゴン、ミッチ・ハニガー、ベン・ギャメルがレギュラーで、ヘレディアが控えというのは昨オフからの構想。ギャメルが戻ったのだから、イチローは必要ない。5人体制にすると救援陣を7人にしなければならない。8人でいくというのがプランだった。
・ヘレディアのほうが打撃成績がいい(降格時の打率は3割1分、出塁率4割1分7厘、2本塁打、4打点、4得点)。その時点でイチローは打率2割1分2厘、出塁率2割1分2厘、打点0、得点3。
・ヘレディアのほうが、守備がうまい。
・ヘレディアのほうが若い。
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