2019年6月18日(火)

貝毒に注意 大阪湾で例年より毒性強く、瀬戸内海でも確認

2018/4/28 12:18
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大阪湾を中心にアサリなどの二枚貝で貝毒が広がっている。今年は例年と比べて毒性が強いのが特徴で、兵庫県西部や岡山県東部の瀬戸内海でも約30年ぶりに発生が確認された。沿岸の潮干狩り場は採った貝を交換するなど対応に追われ、食中毒の被害も出た。大型連休が始まる中、自治体は注意を呼びかけている。

潮干狩りで採った貝と交換される無害な貝(22日、大阪府貝塚市)

潮干狩りで採った貝と交換される無害な貝(22日、大阪府貝塚市)

「採った貝は持ち帰れません」

大阪府貝塚市の二色の浜潮干狩り場。オープン直後の4月下旬、係員が来場客に申し訳なさそうに声をかけていた。

二色の浜を含む府内3カ所の潮干狩り場は、2月中旬に近海のアサリやアカガイ、トリガイで貝毒が検出されたことを受け、持ち帰りを全面禁止。代替品として九州産の貝に交換するなどして対応している。子供と一緒に潮干狩りに初めて来たという主婦(35)は「自分で採った貝を食べるのが楽しみだったのに」と残念そうに話した。

自治体は潮干狩り場だけでなく、河口で採った貝も食べないよう河川敷に看板を立てるなど注意を促す。3月には大阪府泉南市の河口で採ったアサリを食べた50代の男性が食中毒を起こした。男性は入院し、回復した。

大阪湾では2013年から毎年、アサリやトリガイから貝毒が検出されている。アサリの場合、例年は3月ごろから5月下旬ごろまで発生が続く。今年は1カ月ほど早い2月に発生し、3月には兵庫県東部に拡大。4月には兵庫県西部で35年ぶり、岡山県東部でも32年ぶりに確認された。

兵庫県でも採った貝を交換している潮干狩り場があるほか、漁業にも影響が出ているという。県の担当者は「貝毒が一度確認されると翌年も発生しやすい」と懸念する。

府立環境農林水産総合研究所によると、貝毒は有毒プランクトンを取り込むことで起きる。担当者は「工場からの不正な排水がなくなり、大阪湾の水質が浄化された。海中の栄養素が減り、低栄養でも増殖できる有毒プランクトンが増えた可能性がある」とみる。

年々毒性は強くなっており、4月上旬にはアサリから、体重60キログラムの成人が8個以上食べた場合に死に至る恐れがある強い毒性が検出された。同研究所は「近年は有毒プランクトンの発生が多く、貝が毒をためやすい傾向にある」(担当者)と説明する。

大阪府が毎週実施している検査で、3週連続で毒が基準値以下になれば規制はなくなる。毒性の数値は減少しているものの、アサリは5月中、アカガイとトリガイは6月まで規制がかかるとみられる。府の担当者は「大型連休で潮干狩りを楽しむ場合は、十分注意してほしい」と話している。

貝毒の特徴は… 加熱・洗浄でも毒消えず、食後30分しびれの症状

貝毒は加熱や洗浄でも消えない。食べた場合の症状は主に「まひ性」と「下痢性」の2種類があり、大阪湾で見つかるのはまひ性がほとんど。現在アサリ、アカガイ、トリガイの3種類で発生が確認されている。

貝毒にかかると、食後30分ほどで舌や唇、手足にしびれが出る。毒は自然に体から排せつされるため12時間ほどで症状は治まるが、症状が重いと運動機能の低下や言語障害のほか、まれに呼吸困難で死に至ることもある。大阪府の担当者は「国内では過去に死亡例もある」と話す。

まひ性の貝毒は神経を鈍くする点でフグ毒と似ており、治療薬はない。対症療法として点滴や胃の洗浄などの処置しかなく、府は「異変を感じたら病院に行ってほしい」と呼びかけている。

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