2018年12月13日(木)

ASEAN、ロヒンギャ難民でミャンマーに配慮
内政不干渉の原則を優先

2018/4/27 19:33
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【シンガポール=新田裕一】ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャが迫害を逃れ隣国バングラデシュに難民として流出している問題で、東南アジア諸国連合(ASEAN)がミャンマーの立場に配慮する姿勢を見せている。シンガポールで開いたASEAN首脳関連会議でも強い非難は避け、人道支援などでの協力確認にとどまる見通し。内政不干渉の原則が壁となり、ASEANは積極的に関与する解決策を提示できないでいる。

ASEANは27日、シンガポールで外相会議を開催した。外交筋は「ロヒンギャの状況は深刻だが、原則は内政不干渉だ」と述べ、ASEANとしての対応に限界があることを認める。関係者によると、各国外相はミャンマーに残るロヒンギャ住民に対するASEANからの人道支援の拡大などについて議論した。

28日に開く首脳会議にミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問は出席しない。別の外交筋は「スー・チー氏が来ないのならば突っ込んだ議論はしにくい」と話す。欠席の理由は判然としないが、同氏の不在が結果として議論を低調に終わらせる可能性がある。

日本経済新聞が27日までに入手した首脳会議の議長声明案は、人道支援などを通じて「ミャンマー政府の取り組みを支援する」という内容で、同国を非難する文言は入っていない。ミャンマー政府が強硬に認めない「ロヒンギャ」という民族名の使用も避けた。

2017年12月、国連総会の対ミャンマー非難決議案は122カ国の賛成で採択された。だが、ASEAN10カ国で賛成したのは、イスラム教徒が多数派のインドネシア、マレーシア、ブルネイの3カ国のみだった。

欧米から「民族浄化」などと厳しい批判を浴びるミャンマーが孤立を回避するにはASEANとの連携が欠かせない。ロヒンギャ問題に関する政府諮問会議の議長には、域内各国にパイプを持つタイのスラキアット元副首相を迎えた。同会議は3日に公表した提言書で、ASEANとの連携に繰り返し言及した。

5月には国連安全保障理事会の代表団がミャンマーを訪問する。ミャンマー政府は代表団の現地視察に、ASEAN議長国シンガポールの外交団も招いている。

タイのチュラロンコン大学戦略国際問題研究所のカヴィ・チョンキタボーン上席研究員は「ASEANが実際にできることは限られる」と指摘する。一方、ミャンマーがASEANの関与を受け入れる姿勢を見せたことは「大きな進展」とみる。

ロヒンギャ問題は、ASEAN加盟の各国にも波及している。インドネシアやマレーシアには4月以降、計130人を超えるロヒンギャが乗った計3隻の船が相次ぎ漂着した。海路でミャンマーを逃れる例が明らかになったのは初めてだ。国連によると、ミャンマーに残るロヒンギャの人々は40万人で、かつての半数に満たない。地域社会の崩壊で生活が成り立たずにミャンマーを離れるケースも多いようだ。

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