2019年1月18日(金)

KDDIがスマートグラスに本腰 「ワクワク」提供へ

2018/4/27 20:00
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日経クロステック

KDDIがスマートグラスで米ODGと提携。左から米ODGのPete Jameson氏、KDDIの山田靖久氏、米クアルコムのHugo Swart氏(撮影:山口 健太、以下同じ)

KDDIがスマートグラスで米ODGと提携。左から米ODGのPete Jameson氏、KDDIの山田靖久氏、米クアルコムのHugo Swart氏(撮影:山口 健太、以下同じ)

KDDIはAR(拡張現実)やVR(仮想現実)を総称した「xR」技術についての説明会を2018年4月26日に都内で開催し、スマートグラス製品の企画・開発で米オスターハウト・デザイン・グループ(ODG)との戦略的提携を発表した。

スマートグラス製品の具体的な発売計画などは未定としたが、5G(第5世代移動通信システム)時代に向けてODGとともにxR技術に取り組み、18年6月からパートナー企業らと実証実験を進めていくという。

■5G時代 xR技術で新たなデバイス

説明会にはKDDI 商品・CS副統括本部長の山田靖久氏が登壇。4月1日に就任した高橋誠新社長の方針を踏まえながら、「5G時代に向けて通信とライフデザインを融合し、お客様に『ワクワク』を提供していく」と語った。

xR技術については、「ARやVR、MR(複合現実)といったものが出てきており、xRと総称している。KDDIでは、人生の様々なイベントに時間と空間を越える体験を提供したい。当社単独ではなく、様々なパートナーと作っていく」と説明。これまでの取り組みとして、自由視点映像技術の「4D REPLAY」や、高速バス「WILLER」などの事例を紹介した。

これらを踏まえ、xR技術を用いた新たなデバイス開発のパートナーとしてODGを紹介。「KDDIからはパートナーとの接点やxRに関する技術、体験シーンの創出を、ODGからは開発力や導入実績、イノベーションマインドを組み合わせることで、戦略的なパートナーシップを推進していく」(山田氏)と語った。

スマートグラスを用いたデモを公開

スマートグラスを用いたデモを公開

説明会場では、xR技術のデモとしてKDDIの「ビデオパス」や「うたパス」を利用した「Theater」、スマートグラスによる未来型コミュニケーションの「Telepresence」、遠隔地から作業者に指示を出せる「VistaFinder Mx」、仮想的なドローンレースを楽しめる「AR Drone Race」を公開した。

今夏には日本航空(JAL)と実証実験を開始する。羽田空港の国際線ターミナル内のラウンジで希望者にスマートグラスを貸し出し、複数の映像を楽しんでもらうという。将来は飛行機内のエンタメとしての可能性も検討していく。

バーチャルキャラクターについては、クリプトン・フューチャー・メディアとの「初音ミク」を利用した取り組みを紹介。今後のビジネストライアルでは、フィールズグループとフォトリアル領域で、パソナテックと人材派遣の拡張として、それぞれバーチャルキャラクターを利用するサービスについて、実験を進めていくとした。

■最上位プロセッサー搭載のスマートグラス

スマートグラスを開発するODGからは、最高執行責任者(COO)のPete Jameson氏が登壇。「KDDIとの戦略的パートナーシップにより、日本市場にスマートグラスをお届けする。日本におけるモバイルのメディア消費と、モバイルコンピューティングの姿を変革したい」と語った。

ODGの本社はサンフランシスコで、暗視ゴーグルなど30年の実績がある。最近10年間は一体型のヘッドマウントコンピューターを開発しており、数百件の特許を保有しているという。

最上位モデルの「R-9」

最上位モデルの「R-9」

現行製品のスマートグラスとしては、4機種を紹介した。「R-7」シリーズは危険な作業現場向けのスマートグラスになる。KDDIが実証実験に用いる「R-9」は、プロセッサーに米クアルコムの「Snapdragon 835」を搭載した最上位モデルで、6軸の自由度(6DoF)に対応する。

米クアルコムからは、グローバルのXR事業を統括するProduct Management担当Senior DirectorのHugo Swart氏が登壇。「将来はスマートフォンに代わり、ウエアラブルグラスがあらゆる仕事や遊びの場でコンピュータとして使われるようになる」とのビジョンを示した。

Swart氏はSnapdragonシリーズとxR技術について、「Snapdragon 820は初めて没入体験を実現する性能を実現した。835では6軸の自由度に対応し、845ではSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)技術によるルームスケールトラッキングに対応した。既に20以上のARやVRデバイスが商用化されている」と紹介した。

次世代のxR体験に必要な技術としては5Gを挙げた。「5Gでは高速で安定した低遅延の接続が可能になる。これをxRと組み合わせることで、単に新しいモバイルブロードバンドとしてだけでなく、新たなサービスが実現するだろう」(同)と期待を語った。

■ホロレンズとの違いは「Androidアプリとの親和性」

質疑応答では具体的な発売計画や競合製品について質問が挙がった。販売戦略や価格については、「まだ決めていない。スマートグラス自体も幅広く提供していくにはまだ改良が必要だ。まずは遠隔作業の正確性や時間短縮を求める企業用から立ち上がり、その次にコンシューマーに使ってもらえるのでは」(山田氏)と回答した。

米マイクロソフトの光学透過型ヘッドマウントディスプレー「HoloLens(ホロレンズ)」との違いについては、「狙っている市場が異なる。スマートグラスは小型軽量がアドバンテージで、あのサイズ感で得られる体験価値は世界で最も良い」(山田氏)とした。

アプリ開発についてもHoloLensに対して優位性があるという。「オープンソースベースで、プロセッサーもクアルコムを使っていることから既存のスマホアプリと親和性が高い。実際にデモはAndroid(アンドロイド)アプリと同じ開発ラインで作っている」(KDDIの上月勝博氏)と違いを挙げた。

発表会で語られた「スマートフォンをスマートグラスが置き換える」とのビジョンについては、「直接置き換えるものではないが、マン・マシン・インタフェースが拡大していく中の一つのデバイスとして、5G時代にはスマートグラスにも可能性がある」(山田氏)との見方を示した。

(ライター 山口健太)

[日経 xTECH 2018年4月26日掲載]

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