19年春の新卒求人倍率、1.88倍 7年連続上昇

リクルートホールディングス傘下のリクルートワークス研究所(東京・中央)が26日発表した2019年春卒業予定の大学生の求人倍率は1.88倍と前年より0.1ポイント上昇した。7年連続の上昇。民間企業の求人総数が81万3500人と、前年から5万8000人増えたのに対して、民間企業への就職を希望する学生は43万2000人で微増だった。学生優位の売り手市場を裏付けた。
企業規模別に見ると、従業員数が5000人以上の企業では求人総数が5.1%増の5万1400人だったのに対し、就職希望者は13万8000人で11.8%増加した。求人倍率は0.02ポイント低い0.37倍だった。
就活生の大手志向を受けて、中小企業の採用は一段と苦しくなっている。300人未満の中小企業では求人数が8.8%増と大幅に高まったが、就職希望者は29.2%減り、求人倍率は3.46ポイント上昇の9.91倍。リーマン・ショックの影響が表れる直前で、比較可能な10年春卒(8.43倍)を上回る、過去最高の水準だ。
同日、記者会見したリクルートワークス研究所の古屋星斗研究員は「大手に入社した先輩の実績を見て期待を高める学生が増えている」としたうえで、「大手企業だけが買い手市場になっている」と分析する。
業種別では流通業が前年から1.25ポイント上昇の12.57倍、建設業は0.14ポイント上昇の9.55倍だった。建設は東京五輪や都市開発で需要が高まる一方で、技能をもつ人材の採用に苦戦している。
古屋氏は「労働環境に対する学生の意識が高まり、業種ごとの倍率の差が大きい」と見方を示した。
金融業の求人総数は1万900人と前年と横ばい。銀行の採用抑制分は保険業界の営業職の採用増で相殺された。ただ金融を希望する学生は9.8%減った。フィンテックやRPAの活用により、銀行などの業態は転換期に差しかかっており「もともと安定志向の学生が集まる業界だったが、そういった学生が別の業界に流れている」(古屋氏)という。

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