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好決算キャタピラー、会見中に株急落のなぜ

【ニューヨーク=中山修志】米建機大手キャタピラーの業績が好調だ。世界的な資源開発の需要増により、2018年1~3月期の純利益は8倍に拡大した。同社はトランプ米大統領が幾度も支援を公言してきた代表的な「トランプ銘柄」。だが、完全復活を阻もうとするのは、トランプ氏が自ら課した鉄鋼の輸入関税だ。

利益目標上方修正したが

「キャタピラーの93年の歴史で最高益を実現した。我々のチームを誇りに思う」。24日のアナリスト向け電話会見で、ジム・アンプレビー最高経営責任者(CEO)はこう切り出した。北米やアジア・太平洋、欧州・アフリカ・中東など全ての主要地域で建設機械や鉱業機械の需要が拡大。売上高は128億ドルと31%増加した。建機需要の拡大が続くとして、18年12月期通期の利益目標を上方修正した。

好業績を受けてキャタピラー株は一時4%高まで上昇。だが、電話会見が中盤にさしかかったとたん、いきなり下げに転じた。ブラッドリー・ハルバーソン最高財務責任者(CFO)が「鋼材の価格上昇が年間を通じて逆風になる」と表明したのがきっかけだ。

キャタピラーによると、世界的な需給の逼迫により鋼材価格は1年あまりで約5割上昇したという。4月以降はさらに、トランプ大統領が安全保障上の問題を理由に導入した鉄鋼関税の影響が加わる。

米国が輸入鋼材に25%の関税を課したのは3月23日。キャタピラーの投資家向け広報(IR)担当者は「原材料高の要因はさまざまだ」と関税への直接の言及を避けたが、「コスト増は見込みより大きく、全てを価格転嫁できない。4~6月以降は利益水準が下がる」と明言した。

2年前、トランプ氏の援護射撃

およそ2年前の16年3月、共和党の大統領候補だったトランプ氏は「キャタピラーは円安でコマツとの競争が難しくなっている」と名指しで指摘。「メキシコ国境の壁はキャタピラーの建機でつくる」とエールを送った。後にトヨタ自動車など日本車メーカーにも飛び火した「トランプ・ショック」の始まりだ。キャタピラーは15年10~12月期に最終赤字に転落し、工場閉鎖などのリストラ策を発表したばかりだった。

だが、円安の緩和と建機市場の復調によりキャタピラーの業績は急速に持ち直した。グローバルで従業員を1万人増やし、米中関係の悪化で不透明感が強まる中国市場についても「需要は想定を上回っており、18年は10トン以上の掘削機が3割伸びる」と強気の見通しを示す。

キャタピラーにとって、もはやトランプ氏の援護射撃は必要ないようだ。株式市場は建機市場の好調ぶりよりも、貿易摩擦によるコスト上昇を問題視した。自国を優先したはずの通商政策が、ひいきの企業の足を引っ張る結果になっている。

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