木造天守バリアフリー対策 名古屋市「5月に結論」

2018/4/24 22:30
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名古屋市は24日、木造復元を進める名古屋城天守閣のバリアフリー対策をめぐり有識者らから意見を聞いた。障害者団体や福祉の専門家からはエレベーター設置を求める声が強かった。建築の専門家からは「史実に忠実な復元とバリアフリーの両立が必要」との意見が出た。河村たかし市長は設置に否定的な見解を繰り返しているが、市は5月中に結論を出す方針。

車いすの傍聴者も目立った木造天守閣バリアフリーを巡る有識者会議(24日、名古屋市役所)

現天守にはエレベーターが設置されている

市が新たに3案、障害者団体はエレベーター求める

この日、市は議論に先立ち、エレベーターについて(1)設置しない(2)天守内部に3階までの4人乗り設置(一般的な車椅子は乗れない大きさ)(3)天守外部に1階までの11人乗り設置(電動車椅子にも対応できる大きさ)――の3案を新たに示した。後者になるほど史実との乖離(かいり)が大きくなるとした。

自らも障害を抱えるNPO法人「わっぱの会」理事長の斎藤縣三氏は議論の冒頭「バリアフリーは現代の最大の価値。エレベーター利用は必然だ」と主張。車いすで参加した「愛知県重度障害者の生活をよくする会」の近藤佑次氏は、史実に忠実な復元について「古い時代にあった障害者への差別的な一面を残すことになる」と述べた。福祉関係の学識者らからもバリアフリー対策を求める声が相次いだ。

「史実に忠実な復元」との折衷案探る声も

建築の専門家らからは、市の「史実に忠実な復元」に理解を示しつつ、「バリアフリーとの両立を探るべきだ」(中部大の片岡靖夫名誉教授)、「100%史実に忠実である必要はない」(広島大の三浦正幸名誉教授)と、折衷案を探る声が上がった。工学関係の学識者からは、椅子式の階段昇降機(チェアリフト)などで技術革新が相次いでいる点について指摘があった。

河村市長はエレベーター設置に否定的な見解

会議に出席した河村たかし市長は終了後、記者団に「エレベーターを設置すると(築城当時の)400年前の姿とは違うものになる。エレベーターでないとだめだ、という意見はなかった」と、これまでと同様、設置に否定的な見解を示した。

市は昨年11月、史実に忠実な復元を目指すとして、木造天守閣にはエレベーターを設置せず、代わりにチェアリフトなどを設置する方針を示したが、障害者団体の反発を受け、再検討している。

この日の会議の最後に、市はバリアフリーの議論は継続する方針を示したが、エレベーター設置をめぐる結論は5月中に出す方針を改めて示した。障害者らの要望と市長の方針にどう折り合いをつけるか、注目される。

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