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JXTGHD、新社長が挑む「2年目のジンクス」

石油元売り最大手JXTGホールディングス(HD)は24日、次期社長にJXTGエネルギーの杉森務社長(62)を昇格させる人事を発表した。2017年度はJXTGHD誕生などの効果で市況が好転した。石油業界では再編初年度は市況が改善しても次年度には価格競争が再燃する負の連鎖が続いていた。元売りのリーダーとして2年目のジンクスを打ち破れるか。

JXTGHDの次期社長に内定し、記者会見するJXTGエネルギーの杉森社長(右)。左はJXTGHDの会長になる内田社長(24日午後、東京都港区)

JXTGHDの木村康会長(70)は相談役、内田幸雄社長(67)は会長に就く。HD傘下の事業子会社のJXTGエネの社長にはJXTGHDの大田勝幸常務(59)、JX石油開発の社長には細井裕嗣副社長(61)が就く。6月末に開催予定の株主総会後に正式就任する。

JXTGHDの社長に就く杉森氏は24日に開いた記者会見で「足元の事業環境は好調だ。ただ、先行きが不透明であることは変わらない」と指摘した。少子化やエコカーの普及で、国内のガソリン需要は年2~3%ずつ減少。原油価格も変動するなか、全国約3万1000カ所の給油所では価格競争が激化し「採算度外視の不毛な争いが続いてきた」(石油元売り大手幹部)。

17年4月にJXホールディングス(HD)と東燃ゼネラル石油が経営統合し誕生したJXTGHDは、こうした業界の構造改革を進めてきた。まず全国約1万3500カ所の系列給油所へのガソリンなど石油製品の卸価格の条件を統一。さらに元売りから一部の商社などに流れていた安価な石油製品の流通に一定の歯止めをかけた。

さらに国も元売り各社に供給能力の削減を求め、17年3月末で国内の原油処理能力は約1割減った。「JXTGが安売りに歯止めをかけたことで市況は確実に改善した」(元売り大手幹部)。17年度に入り業界にはびこっていた悪習は着実に改善され、JXTGHDの18年3月期の連結営業利益は4800億円と前の期比で28%増になる見通しだ。

JXTGHDは統合から3年間で年1000億円以上の収益改善効果を目指している。JXTGエネの社長に就く大田氏は「統合の2年目に入り、効果を着実に上げることが最優先だ」と強調した。初年度は計画を上回る実績を上げることが確実だが、リーダーとして採算割れ覚悟の販売競争に陥りやすい石油業界を立て直す重責も負う。

17年度は国内の石油製品の需給環境が改善したほか、原油価格も緩やかに上昇。さらにエネルギー需要が伸びる東南アジアなどへの輸出も好調で「マイナス要素がまったくない状況が1年続いた」(JXTG幹部)。ただ18年度は輸出環境が厳しくなると予想されており、業界内では再び価格競争が激化するのではとの不安もにじむ。

JXTGホールディングスが誕生した(中央が木村康会長、写真は16年の統合発表時)

JXTGでは新たな収益源となる次世代事業を育成する青写真を描く。国内では自由化が進む電力やガス事業に参入するほか、海外では東南アジアでの石油・化学事業を積極的に進める考え。次世代事業の育成には大きな投資も伴うだけに、内田氏は「国内の石油事業で安定収益を確保し、変化に対応できる財務基盤を確立することが重要だ」と語った。

石油業界では、出光興産昭和シェル石油も合併に向けて協議を進めている。すでに17年5月からは石油精製・物流事業での提携を始めており、5年で年300億円以上の収益改善効果を目指す。JXTGと出光・昭シェルの2強体制を確立できれば、需要減が続く国内の石油業界は新たな局面を迎える。

(指宿伸一郎)

[日経産業新聞 2018年4月25日付]

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