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韓国、憲法改正に赤信号 6月の国民投票実施は時間切れ

【ソウル=鈴木壮太郎】強力すぎる韓国大統領の権限縮小を盛りこんだ憲法改正に赤信号がともった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は6月の統一地方選と同時の国民投票実施をめざしたが、必要な関連法改正が間に合わず、時間切れとなった。このまま改憲論議が立ち消えになれば不正の温床にもなってきた大統領制の改革がまた先送りになりかねない。

「私の国民への約束を果たせなくなった。とても残念だ」。文氏は24日、強い遺憾の意を表明した。文氏は3月26日、現在1期5年の大統領任期を連続2期8年まで可能にする再任制の導入を柱とした改憲案を国会に発議。6月の国民投票をめざしてきた。

改正案は現行憲法が位置づける「国家元首」の地位を削除し、首相の地位や責任を高めるなど大統領の権限を縮小する規定も盛り込んでいた。憲法に規定のなかった大統領特別赦免を審査制にすることも明記した。

国民投票の実現には4月23日までに国民投票法を改正し、国外の居住者も投票できるよう改める必要があった。だが、国会の審議が進まず法改正できなかった。

国民投票の6月実施は昨年5月の大統領選で文氏だけでなく野党も含む全候補が賛成した。文氏は「私だけでなく政治家すべてが国民と交わした約束だ。それを無視するのは到底納得できない」と、国会審議に消極的だった保守系の「自由韓国党」など野党を批判した。

保守系野党が6月の国民投票に消極的だったのは、同時実施の統一地方選の投票率が高まれば、自党に不利に働くとの計算が働いたとの見方がある。今回の統一地方選は、発足から1年の文政権の事実上の信任投票の性格を帯びる。文政権は70%を超える高支持率を維持している。

保守政党の支持層は高齢者が多く投票率も高い。国民投票とのダブル実施で統一地方選への関心が高まれば、ふだんは投票所に足を運ばない若年層も投票することになり、革新系の政権与党「共に民主党」への追い風になりかねない。

今後の焦点は文氏が自ら発議した改憲案を取り下げるかだ。文氏は24日、「南北首脳会談後、熟慮して決定する」と語った。

改憲案は発議から60日以内に国会で採決する必要があるが、現有の保有議席では3分の2の賛成は見込めず否決は確実だ。そうなれば野党を説得する努力を怠り、可決の見込みのないまま発議に踏み切ったと文氏が批判を浴びかねない。

韓国選管によると、国民投票の実施には国内だけで1555億ウォン(約157億円)かかる。在外投票を含めれば費用はさらに膨らむ。統一地方選との同時実施が不可能になったいま、文氏が改憲案を取り下げるとの見方もある。

絶大な権力は取り巻きが群がり、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)両被告を含め歴代大統領が金銭スキャンダルにまみれる一因にもなってきた。1期5年の大統領制は中長期の視点に立った政権運営を難しくしている面もある。改憲が遠ざかればこうした課題解決も先送りとなる。

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