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まず下半身 足踏みスイングで飛距離アップ(2)

 米PGAツアーで活躍するトッププロのスイング解析や、世界一流のコーチたちから最先端のコーチングを学んでいる吉田洋一郎プロ。それだけに吉田プロのレッスンはゴルファーの潜在能力を最大限に引き出すとの高い評価がある。今回は飛距離アップをテーマにレッスンをしてもらった。
(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.38」から)

「ディスプレーのスイングを見てください。アドレスから最初に手でクラブを引いて、次に上半身、その上半身につられて下半身が動き出すというバックスイングです。ダウンスイングでも手が先に下りて上半身が動き、それにつられて下半身が動きます。その後は上半身が動き、下半身が回るという順番になっています。この順番では下半身は能動的には使えません。逆に下半身が動いてから上半身が動くという順番のスイングになってほしいのです。そうすれば、クラブがより速く振れるようになって、ヘッドスピードも上がりますよ」

そう指摘されればうなずくしかない。「上半身→下半身」の順番ではいくら頑張って振っても飛距離アップは望めないということなのだ。

「極端にいえば、上半身だけで振っているスイングなわけです。つまり、椅子に座ってクラブを振っているのと変わらない。宙に浮いて打っているようなものです。これでは飛距離は出ないですよね。でも、そういったスイングは日本人にはとても多い。最初にボールに当てることを念頭にスイングを覚えたからでしょう」

まさにその通り。ゴルフを始めたとき、いきなり練習場でボールを打ったのだから、空振りをすることだけは避けたかった。よって、下半身が使えないスイングになってしまったのだろう。

空手の瓦割りのように両腕をだらんと下げ、左足かかとを上げながら右腕を上げ、左足かかとを踏み込んで右腕を下に押し込む

「ですから、飛ばそうとすると、皆さん上半身を速く回して手を速く振ろうとしますよね。しかし、このやり方では大してヘッドスピードはアップしませんし、逆にヘッドと一緒に手が動いて飛ばなくなってしまうこともあります。さらには、体がブレて当たらなくなってしまう。飛ばしたいのなら下半身を使うことです」

そこで、今38号で登場しているサム・スニードの「スニード・スクワット」のことを話してみた。

吉田プロは言う。

「スニードをはじめ、ベン・ホーガンら昔のプロは下半身を使って出力を上げていましたよね。今でも女子プロやジュニアら力のない人は下半身のジャンプ力を使って飛距離を出していますよ」

それをアマチュアも参考にすべきなのだ。

「ヒントは『スニード・スクワット』にもあります。床反力、つまり地面反力。地面に足を踏みつけて、その反発力をスイングに使うわけです。女子プロやジュニアのジャンプも同様ですよね。地面を踏んで飛び上がる。地面を押した反動を使うのです」

宙に浮いた状態で打つのとはまったく逆だ。

「足を踏ん張ると思いがちですが、頑張る必要はありません。内力をぶつけて外力に変えればいいだけです。踏ん張るのではなく、踏むだけでいい。つまりは自分が頑張るのではなく、力をもらえばいいわけです。なので、足が疲れることもない。毎日でもラウンドできますよ。プロは毎日プレーしても筋肉痛にならない。足の使い方がわかっているからです」

確かに我々は毎日ラウンドなどできるわけもない。とはいえ、はるかに年上の70代や80代の先輩たちの中には毎日プレーしている人もいる。きっと力の使い方が上手なのだろう。

「まずはバックスイングの始動を下半身からにしましょう。下半身を動かして上半身を動かす。ダウンスイングでも同様に下半身から上半身へと動かします。下半身の動きにつられて上半身が動くようにしましょう。これを『キネティックチェーン』、運動連鎖といいますが、それをその順番で動くように整えていきましょう」

こうして実地指導が始まった。吉田プロが言う。

「先ほど言ったような、下半身から上半身への運動連鎖ができるよう、段階的に行っていきたいと思います。まずはクラブを持たずに、空手の瓦割りの動きをやりましょう」

左足かかとを上げながら右手を引き上げる(左手は下がる)。右手を十分に引いたら、左足かかとを踏み込んで、一気に右手を地面方向に押し込む(左手は引き上げられる)。

吉田プロの動きを手本に自分もやってみる。

「上げた左足かかとを踏み込んだ床反力を使って、右手を強く押し込む。そのとき、踏み込みながらでは強く押し込めない。同時だと力が発揮できません。踏み込んだあとに押し込む。その僅かな時間差が、強く押し込める秘訣です。床反力を使えば、自然と時間差ができるのです」

かかとの上げ下げで、手が自然に上がり下がりする。考えなくとも自然にできる。これが足を使うということなのだろう。しかし、時間差を意識すると動きがぎこちなくなってしまう。

右足を前に踏み出したら左から右に腕を振り上げ、左足を前に踏み出したら右から左に腕を振り上げ、歩きながら腕を振る

それを訴えると、吉田プロが野球のピッチング動作を行う。

「ピッチャーがボールを放るとき、左足をグッと前に踏み出しますよね。そのとき、左足が地面に着いているのに、まだボールは手から離れていない。十分に肘を引いて胸を正面に向けて張り、それから肘が前に出てくる。手首を曲げ、スナップを利かせてボールを投げる。左足の地面反力を使って上半身を動かすわけですが、腕や手の動きとの時間差があるわけです。このボール投げの要領で下半身、上半身、そして腕と手を動かすという順番で、ゴルフスイングも行ってほしいわけです。では、それを覚えるためにも、歩きスイングをやってみましょう」

吉田プロがアイアンを持ち、前へ歩きながらそのアイアンを振る。

左足を前に出し、クラブを右から左に振る。

右足を前に出し、クラブを左から右に振る。

それを繰り返して前進する。

「では、やってみましょう」と言って、アイアンを渡される。

同じようにやってみると、足を出したあとでクラブを振ることになる。同時にはやろうと思ってもできない。自然に下半身と腕の振りに時間差ができるのだ。

「そうです。その感じ。いいですよ」

吉田プロに言われる。

これが「下半身→上半身」という運動連鎖なのかもしれない。

(次回は5月14日付掲載、文:本條強、協力:トータルゴルフフィットネス)

 吉田洋一郎(よしだ・ひろいちろう) 1978年8月24日、北海道生まれ。ゴルフ・スイング・コンサルタント。デビッド・レッドベターを2度にわたって日本に招き、世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。また、毎年数回にわたり米国に渡り、最新ゴルフ理論を情報収集し、研究活動を行っている。4月から7月まで月1回、「書斎のゴルフ 座学講座」が行われる。
 創刊10周年を迎えた「書斎のゴルフ」は、国内唯一の「読むゴルフ誌」として異彩を放ってきました。これからもゴルフの奥深さを味わい、真にゴルフを上達したいと願う読者の方々に向け、ゴルフの本質や神髄に迫る記事を中心にお届けしてまいります。ご期待ください。

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