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今日も走ろう(鏑木毅)

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心揺さぶられる 富士山一周レースめざして

2018/4/26 6:30
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今週金曜の27日から3日間にわたって「ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)」というトレイルランニングの大会が静岡、山梨両県の9市町村で行われる。距離は168キロメートル、制限時間は46時間、上る高さを足し上げた累積標高差は8100メートルにも及ぶ。半周を巡るカテゴリーも含めると2400人もの選手が参加する。

トレイルランレースの世界のシリーズ戦であるウルトラトレイル・ワールドツアーに名を連ねており、約25%の600人近くは海外からの参加者が占める。海外選手のエントリーが多い東京マラソンでも約17%であることを考えると、富士山の魅力がいかに大きいかを再認識させられる。

富士山をバックに走る(2013年の第2回UTMF)

富士山をバックに走る(2013年の第2回UTMF)

実はこの大会はアルプス最高峰モンブランを一周巡るウルトラトレイル・デュ・モンブラン(UTMB)に出場した私の経験がベースになっている。UTMBはフランス、イタリア、スイスの3カ国の約100マイル(160キロメートル)をたどるコースで、世界一を決定する大会ともいわれるが、90カ国・地域から集結した2500人のランナーの大半はプロでない一般ランナーだ。

UTMBに最も魅せられた点はホスピタリティー。コース途中の集落やエイドステーションでは夜中でも子供を含め多くの観客が応援し、時には地元の楽しそうな演奏や歌声につい足を止めたくなるほど。ゴール地点のフランスのシャモニーの街は観客に埋めつくされた花道となり、大歓声が体の奥底まで響く。ここに何とか戻ってこれてよかったと安堵するとともに、これまでのまさしく血のにじむような道のりがすべて素敵な思い出に変わり心に刻まれる。

最も感動的なのが表彰式の真っただ中での最終ランナーのゴール。最後にゴールした者は「最も長い時間、闘った者」として壇上に招かれ、入賞者らとともに称えられる。トップ選手であろうと最終ランナーであろうと、このチャレンジに立ち向かった選手を同じように敬う、独特の価値観に大きな感銘を受けた。

これほどまでに心を揺さぶられる大会をぜひとも日本で開催したいと思ったものの、100マイルのトレイルランニング大会は当時、国内はもちろんアジアでも例がなかった。

さまざまな困難にぶつかり何度も諦めかけたが、私が感じたあの感動を日本でも皆さんに味わってほしいと思うと踏ん張れた。荒唐無稽とも思えるこのレースは志を同じくする多くのメンバーの奮闘のおかげでなんとか開催にこぎつけ、今年で6回目となる。世界のトップ選手の活躍も素晴らしいけれど、3日間を不眠不休で挑み続ける一般選手の挑戦、家族とともにゴールし喜びを分かち合う姿にも注目してほしい。競技性の高さだけではない、スポーツの感動の別の一面に触れて心熱くすることだろう。

(プロトレイルランナー 鏑木毅)

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