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2児育てながら女性騎手最多勝更新 宮下瞳(上)

2018/4/29 6:30
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 日本の平地競馬で、現役の女性騎手は中央、地方合わせても6人しかいない。男社会といわれる競馬界でも、腕力を要求される騎手は、女性にはより高い壁がある。そんな世界で、結婚から出産を経て現役復帰という至難の道を歩んでいるのが、宮下瞳(愛知県競馬)である。6歳と3歳の男児2人の子育てに奔走しながら、女性騎手歴代最多勝記録を守っている。

睡眠4時間も「好きなことをさせてもらっている」

 現在の生活はこんな調子だ。月に4日程度の調教を休む日を除くと、午前1時すぎに起床し、自宅近くの弥富トレーニングセンター(愛知県弥富市)で馬の調教に騎乗。午前8時までに7~8頭に乗る。合間に帰宅して子供の様子を見る。8時半になると次男を保育園に送り、たまった家事を片付ける。午後3時半に次男を迎えに行くと、後はまた夕食の準備から片付けまで家事が続き、子供と遊ぶ時間も取る。寝床に就くのは9時ごろで睡眠時間は4時間余りだ。周囲に「大変では?」と聞かれることも多いが、本人は「好きなことをさせてもらっている」と充実感にあふれている。

 現役復帰は2016年8月だが、復帰への約1年はもっと過酷だった。まず厩務員として競馬場に戻り、2頭の世話をする傍ら、他厩舎の所属馬も調教して勘を取り戻した。作業と家事の合間に騎手免許試験の準備に取り組み、睡眠時間は2~3時間。試験には筆記も、障害飛越も含む実技もある。宮下が現役を去ったのは11年8月で、4年近いブランクがあり、練習のために通った近くの乗馬クラブでは「何度も落馬した」ほど。1日1時間のランニングや水泳、ジムワークも重ね、16年7月に騎手免許試験に合格した。

出産と子育てを経て復帰した

出産と子育てを経て復帰した

 現役復帰の発端は長男の3歳の頃のひと言だった。家に飾られている宮下の騎手時代の写真について聞かれ、「これ、ママだよ」と答えた。夫で愛知県競馬の騎手だった小山信行(49)は当時、韓国の釜山慶南競馬場で活動していた。応援で実戦を見るうち、消えたと思っていた競馬への熱意が戻ってきた。

 宮下自身も09年秋から1年半、釜山で騎乗した。デビュー15年目。同じコースでの単調なレースの繰り返しに飽きていた頃だった。釜山では簡単な韓国語を覚え、自ら人脈もつくり、1人で街を歩いて食堂を探した。1年半で56勝。「刺激が多くて、楽しかった」と話す。もう少し釜山で乗りたいと思っていた時に、義母が病に倒れ、看病のために帰国すると、「騎手としてやりきった」という思いもわいてきた。第1子の妊娠も重なり、地方通算626勝で騎手人生の第1幕を自ら下ろした。

(敬称略)

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