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DeNA、苦戦予想覆したチーム力の底上げ

DeNAが上々のスタートを切った。昨季、合わせて31勝を挙げ、ローテーションの中心を期待された今永昇太、ジョー・ウィーランド、浜口遥大が故障で出遅れるなか、厚さを増した選手層と精度の上がった野球で首位に立っている。(記録は4月23日現在)

アレックス・ラミレス監督は「3人が戻ってくるまで5割でいければ十分だと考えていた」と明かす。ところがふたを開けてみると、1勝5敗とやや出遅れたところから17年ぶりの8連勝。17日に連勝が止まった後も2勝1敗と好調を維持し、4つの貯金をつくっている。

京山は15日の中日戦で好投し、3勝目を挙げた=共同

投手陣、若手や新戦力が躍動

安定した戦いを支えるのは投手陣だ。チーム防御率は2.91とリーグトップ。なかでも「うれしい誤算」は3人の穴を埋めてあまりある活躍を見せている若手や新戦力の先発陣だろう。筆頭は滋賀・近江高から入団2年目の京山将弥。連敗で迎えた開幕3戦目でプロ初登板となる先発マウンドを任されると、ヤクルトに5回1失点と好投し、勝ち投手となった。その後も広島に六回途中まで無失点、中日に六回途中1失点。1軍デビューから3戦3勝は球団史上初の快挙となった。

細身でひょうひょうとした投げっぷり。デビュー戦の後には「高3夏の県予選初戦の方が緊張した」と平然と言ってのけた。得意のチェンジアップと駆け引きで間合いを外す投球スタイル。ラミレス監督に「チームでトップ3に入る」と言わせる信頼を勝ち取った。

立命大から入団したドラフト1位・東克樹も「即戦力」の期待にたがわぬ力を見せている。150キロの快速球にキレのいいスライダーとチェンジアップが武器。身長170センチと小柄な左腕はヤクルトの技巧派・石川雅規を思わせるが、投球スタイルは紛れもなく本格派だ。

デビュー戦となった5日の阪神戦は打線の援護に恵まれずに敗れたが、7回を9奪三振1失点と堂々の投球。次の巨人戦では制球難から立ち上がりに3失点しながら、フォームを修正して持ち直す対応力を見せ、初勝利。1週間後の巨人戦でも八回1死まで無失点の好投で2勝目を挙げた。落ち着いたマウンドさばきにはラミレス監督も目を見張る。「すごくセルフコントロールできている。球種のコンビネーションは熟練のもの」。昨季1勝の高卒4年目右腕・飯塚悟史も3試合で防御率2.16と先発の役割を全うし、新戦力のエディソン・バリオスも4試合で2勝を挙げている。

22日のヤクルト戦ではウィーランドが復帰し、6回2失点と好投した。今永も24日の広島戦に先発する。いまや開幕前の駒不足から一転、定員オーバーとなった充実の布陣。日程や各投手の体調、調子を見て休ませながら使う選択肢ができたのだから、まさにひょうたんから駒である。

機動力や小技生かした野球浸透

俊足巧打の神里(左)は欠かせない存在になった=共同

底上げ著しいのは投手だけではない。春季キャンプから取り組んできたのは機動力や小技を生かした「スモールベースボール」。日本生命からドラフト2位で入団した神里和毅はその申し子といえるだろう。桑原将志の不振を受けて開幕3試合目から1番に定着し、俊足巧打で欠かせない存在となった。昨季のチーム盗塁数は39とリーグ最少だったが、今季は早くも19でリーグ最多。そのうち8つを決めている神里は個人でもヤクルトの山田哲人らを抑えてリーグトップに立つ。

「出塁したら全部(先の塁へ)いくつもりでいる。投手が動いたらスタートを切る感覚」と神里は話す。社会人時代はあまり走っていなかったというが「練習はしていた。それが生きていると思う」。その足を警戒する相手が焦ってミスを犯す場面も目立ち、大きな戦力となっている。パナソニックから入団したドラフト7位の宮本秀明も代走として起用され、貴重な得点につながる2盗塁を決めている。ラミレス監督が「代走だけでも20~30盗塁できそう」と絶賛する快足は、代走専門で鳴らした元巨人の鈴木尚広さんをほうふつとさせる。

個々の姿勢の変化も昨季までのチームにはなかったものだ。13日の中日戦では俊足とはいえない一塁走者・倉本寿彦が中飛でタッチアップして二塁を陥れ、次打者の安打で生還した。22日のヤクルト戦では、5点をリードされて大勢が決まった九回、ホセ・ロペスが追い込まれてから粘りに粘り、13球目を左翼席に運んだ。ワンプレーへの集中力や執着心、アウトになってもただでは起きない気概。それは昨季のポストシーズンで相まみえたソフトバンクや広島が実践している野球でもある。

昨季までのDeNAはよくも悪くも大ざっぱで淡泊だった。それはひとたび波に乗れば、短期決戦で日本シリーズまで勝ち上がる強さを秘めていた半面、長丁場のペナントレースを地道に戦い、僅かな差を粛々と積み上げる胆力には欠けていた。

それが今年はひと味もふた味も違う。阪神から加入した大和は「みんなが自分の役目を果たしている。細かい野球は計算ができる」と言う。20年ぶりの優勝を目指す資格は備わりつつあるように見える。

(吉野浩一郎)

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