2018年11月15日(木)

アサド政権軍、攻勢続く 米英仏のシリア攻撃から1週間
化学兵器調査開始に遅れ 米、対ロ関係悪化に懸念も

2018/4/21 20:30
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【イスタンブール=佐野彰洋、ワシントン=中村亮】米英仏軍によるシリアのアサド政権へのミサイル攻撃から21日で1週間が経過した。米国などが攻撃に踏み切る原因となった政権による化学兵器使用疑惑を巡る現地調査は安全上の問題から開始が遅れており、真相究明にはほど遠い状況だ。政権軍は反体制派壊滅に向けた攻勢を強めており、ひるむ様子はない。

シリア国営メディアは20日、首都ダマスカス南部で「テロリスト集団と停戦合意した」と報じた。パレスチナ難民キャンプなどを含む一帯は過激派組織「イスラム国」(IS)などが支配、政権側が激しい空爆や砲撃を加えていた。戦闘員は降伏後に東部のIS支配地域などに退去させる。

アサド政権はミサイル攻撃のあった14日、化学兵器使用疑惑の舞台となった首都近郊東グータ地区の完全制圧を表明した。北西部イドリブや中部ハマなどの反体制派拠点への攻勢も強めている。米英仏の攻撃にもかかわらず、内戦における政権側の優位は明白だ。

化学兵器禁止機関(OPCW)は18日、東グータ地区ドゥーマでの調査開始の見通しが立たないと発表した。前日に国連の治安担当者が現地を訪れた際、発砲があるなど治安が悪化したためだ。

マティス米国防長官は18日、「アサド政権が過去に化学兵器を使った行為を隠蔽するためにやったことを注視している」と指摘。治安悪化を理由に調査を遅らせていると批判した。

アサド政権や後ろ盾のロシアは化学兵器の使用を否定している。時間の経過で有力な物証や信頼できる証言などの収集は難しくなっており、真相究明は遠のくばかりだ。

トランプ米政権にはロシアとの対立の落としどころを探る動きもある。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は19日、ロシアのアントノフ駐米大使と会談した。ボルトン氏はシリア問題に関する懸念を伝えると同時に「関係改善は米ロ双方の利益だ」とも指摘。米英仏がアサド政権をミサイル攻撃して以降、米ロ高官の接触は初めてとみられる。

アサド政権の化学兵器使用を理由にしたロシアへの追加制裁も土壇場で先送りした。トランプ大統領が米ロ関係のさらなる悪化を懸念したためだ。CNNによると、米政府はロシアの銀行や軍事関連企業など10社以上の制裁リストをつくり、少なくとも7社には制裁を課す計画だったという。トランプ氏は18日の記者会見で「ロシアが実施に値すればすぐに制裁する」と述べ、当面はシリア情勢などを注視する考えを示した。

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