2018年9月26日(水)

格安スマホ、1勝2敗 総務省検討会で大手と対決

コラム(ビジネス)
モバイル・5G
2018/4/23 6:30
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 総務省は携帯電話市場に関する有識者会議「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の最終会合を開き、報告書をまとめた。格安スマートフォン(スマホ)事業者と携帯電話大手3社がそれぞれの立場から意見を主張し議論は平行線をたどってきたが、結論は大手3社に有利な内容となった。総務省の後押しで成長してきた格安スマホは転機を迎えそうだ。

 検討会は2017年12月に第1回会合が開かれ、今回が6回目となる。これまでの会合で格安スマホ事業者が強硬に訴えてきたのが、携帯電話大手による傘下のサブブランド事業者の優遇だ。

 格安スマホ事業者は大手の通信網を借りて事業を運営している。そのなかで、KDDIが系列仮想移動体通信事業者(MVNO)「UQモバイル」の通信速度を優遇しているとの疑惑が持ち上がった。

■2年縛りを是正

 第2回の会合では「マイネオ」を手がける関西電力系のケイ・オプティコムなどが独自の調査結果を提示して疑惑を主張。昼休みにスマホを使う利用者が多く、回線が1日で最も混み合う12時~13時のピーク帯でも、他社に比べUQモバイルだけが高速での通信を維持できていたと批判した。

 疑惑に対しKDDIは「回線の貸し出し条件は平等」と反論した。双方の主張は平行線をたどったが、総務省が最終的に出した結論は「大手による優遇の実態はなし」だった。格安スマホ勢の主張を退ける格好となった。

 これとは別に、格安スマホ勢が強く訴えてきたのが、回線貸出料の引き下げだ。通信網を持つ大手の回線貸出料の算定方法が不透明で、不当に高額になっているというのがその主張の根幹だ。一方で、携帯大手側は、貸出料は中長期的に引き下げ傾向にあると反論していた。

20日に開催された総務省の「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の最終会合

20日に開催された総務省の「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の最終会合

 総務省は今回の報告書では「透明性が確保されることが重要である」と記載するにとどめ、具体的な施策に踏み込まなかった。格安にとっては「敗北」と言える結果となった。

 ただ、格安スマホ勢にとって「勝利」と捉えられる結論もあった。携帯大手が顧客を囲いこむ代表的な手法である「2年縛り」の是正だ。大手の料金プランは2年間の契約を条件として、月々の通信料を割り引く形式が一般的だ。

 2年の契約を過ぎて2カ月以内に解約すれば違約金はかからないが、3カ月目に入ると2年間の契約が再び自動で更新される。総務省はこの「2年縛り」の自動更新が消費者の自由な選択を阻害していると判断し、大手3社に是正を求める方針を打ち出した。

 大手による囲いこみが緩和されれば、消費者が通信事業者の契約乗り換えを検討するタイミングは多くなり、格安スマホ勢にとっては大手の顧客を奪うチャンスが増えることになる。

■中古の流通促進

 また報告書で大きく踏み込んだのが、国内の中古スマホの流通状況だ。大手3社は消費者が端末を乗り換える際に利用中の端末を下取りし、その多くを海外の業者に転売している。大手3社が国内市場への中古スマホの流通を制限していると判断した場合、「業務改善命令の対象とするよう、ガイドラインを策定する」と結論づけた。

 中古品の流通が増えれば、格安スマホ事業者は端末のラインアップを充実させられる。特に日本市場の約5割を占め、非常に人気が高い米アップルのスマホ「iPhone」を扱いやすくなる。

 大手3社は注文規模や販売力が大きく、直接アップルからiPhoneを仕入れられる。一方で格安事業者は規模が小さいため、中古市場などからの調達に限られる。国内での中古流通が活発になれば、安定してiPhoneを販売できるようになる。

 ただ、今回の検討会の結論には、これまでのように格安スマホ市場の成長を大きく後押しするような施策は盛り込まれなかった。その一方で、UQモバイルやソフトバンク系のワイモバイルなどの資金力のある大手のサブブランドの攻勢は強まりそう。これまで格安スマホ勢の筆頭格だった楽天が「第4の携帯事業者」に転じるなか、各社は対抗策に頭を悩ませそうだ。

(河野真央)

[日経産業新聞 2018年4月23日付]

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