中古スマホ、国内流通促進へ 総務省の有識者会議
総務省は20日、携帯電話市場に関する有識者会議「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の最終会合を開いた。会合では携帯大手3社が中古スマートフォン(スマホ)の国内流通を阻害するようなことがあった場合、業務改善命令の対象にする方針を示した。価格の安い中古品の流通が活発になれば、格安スマホ事業者にとっては追い風になる。

会合ではこれまでの議論をふまえて報告書をまとめた。多岐にわたる項目の一つとして踏み込んだ結論を出したのが、国内の中古スマホの流通状況についてだ。諸外国と比べて日本は中古品の流通が少なく、消費者の選択肢が狭められているとして問題視した。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社は、消費者が端末を乗り換える際に利用中の端末を下取りし、その多くを海外の業者に転売している。大手3社が国内市場への中古端末の流通を制限していると判断した場合、「業務改善命令の対象とするよう、ガイドラインを策定する」とした。
中古品の流通が増えれば、格安スマホ事業者にとっては端末のラインアップを充実できるメリットがある。特に重要なのが日本で人気がある米アップルの「iPhone」だ。
大手3社は注文規模や販売力が大きいため、直接アップルから仕入れられる。一方で小規模の格安事業者は中古市場などからの仕入れに頼らざるを得ない。流通が増えれば安定的にiPhoneを調達しやすくなる。新品に比べ安いため、安い通信料と合わせてさらにアピールを強めることができる。
会合ではこのほか、携帯大手3社の代理店への多額の奨励金についてもやり玉にあげた。奨励金は顧客を囲いこむためのキャッシュバックとして使われることが多い。過度な施策について総務省は2017年1月にも是正の方針を示したが、一部ではまだ横行していた。今後は公正取引委員会と連携し、是正を求めていく。
総務省は有識者の意見を踏まえ、月内に最終報告書を発表する。