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離婚年金分割、家裁審判なら大半が50%で決着

対象は厚生年金のみ

写真はイメージ=PIXTA

離婚をするときに将来の年金を分けられる年金分割。2016年度には前年度より約2000組多い約3万組がこの仕組みを活用した。ただ、まだ制度をよく知らない人や誤解をしている人が少なくないのも事実だ。賢く活用するために、具体的な手続きや注意点を探った。

「自分の厚生年金が月4万円強も減るのか」。3月に年金事務所から年金分割の情報提供を受けた会社員のA男さん(51)の表情が曇った。結婚22年。離婚を検討中だ。

情報請求で額を把握

年金分割は「合意分割」と「3号分割」の2種類。共働きでも、会社員や公務員の妻の専業主婦(第3号被保険者)でも、結婚期間すべてを対象に、50%を上限に分割割合を決められるのが合意分割。第3号が2008年4月以降の結婚期間は一律50%の分割が認められるのが3号分割だ。3号もそれ以前の結婚期間については合意分割で分割割合を決めることになる。

情報提供は妻に知られず受けられると聞いたA男さんは(1)婚姻期間を明らかにする戸籍謄本(2)基礎年金番号――などをそろえて請求。試算のための分割割合を「50%」とした。3週間で回答が来た。

「分割後の妻の年金額も知りたかったが教えてもらえなかった」(A男さん)。配偶者の分割後の金額を知るには、配偶者自身の請求が必要だ。年金分割とは保険料の納付記録を分け合って再計算することで、給付額そのものを分けるわけではない。とはいえ「妻の年金がどのぐらい増えるのか目安がわかり、他の財産分与などを考える参考になった」(A男さん)。

情報提供を受けた後は分割割合について合意を探る。合意すれば請求手続きに入るが、合意不能なら家庭裁判所の審判や調停などを申し立てる。年金分割に詳しい梅原ゆかり弁護士は「審判では大半が50%になる」という。

年金分割の対象は厚生年金部分だけで、基礎年金や企業年金は分割制度の対象外だ。厚生労働省の16年度の統計では、増額される側の平均は月約3万2000円。ただ「配偶者の年収が高く5万円程度増える人も結構いる」(中里妃沙子弁護士)

すぐ現金をもらえるわけではなく、年金分割を受けられるのは自分の年金の受給が始まる時期だ。「早めにお金が欲しい場合、年金分割の割合を減らして合意し、別途他の財産の分与を多くもらう選択もある」(梅原弁護士)

分割の請求は2年以内に

情報請求や夫婦の合意、審判などだけでは分割を受けられず、離婚後2年以内に、年金事務所での請求手続きが必須だ。審判や調停で分割割合が決まったのならそれを示す審判書や調停調書の謄本などを提出する。この場合はどちらか一人だけで年金事務所に行けばいい。

話し合いによる合意の場合は2人で年金事務所に行き「合意書」を提出することが原則必要だが、「もう顔を合わせたくない」として弁護士に委任することも多いようだ。

3号分割も自動的に決まるのは分割割合だけで、2年以内に年金事務所に請求しないと分割を受けられない。

年金分割は離婚にまつわるお金の問題の一部にすぎない。「分割の対象外の企業年金なども、通常は結婚期間に応じて半分を請求できる。年金分割に気を取られその他の財産分与を忘れる人もいるので要注意」(中里弁護士)。一般の財産分与も離婚後2年が請求期限となる。

(編集委員 田村正之)

[日本経済新聞朝刊2018年4月21日付]

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