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賃金格差、最高裁が6月判決 正社員と非正規

定年退職後に再雇用されて同じ仕事を続けた場合の賃金引き下げの是非が争われた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は20日、当事者の主張を聞く弁論を開き、判決期日を6月1日に指定した。原告側は再雇用後の賃下げが、正社員と非正規社員との「不合理な待遇格差」を禁じた労働契約法に違反すると主張。最高裁は判決で、どのような格差が違法となるか初の判断を示すとみられる。

原告は運送会社「長沢運輸」(横浜市)の男性嘱託社員。自身も含め、定年後に嘱託社員として再雇用されたトラック運転手3人が、定年前と同じ仕事をしているのに賃金を2~3割引き下げられたのは不当と訴えている。

この日の弁論で男性は「仕事は何一つ変わっておらず、強い憤りを感じている」と意見陳述。原告側の弁護士は「賃金引き下げの是非は、定年前後で能力に差が生じていないか、といった具体的な事情を考慮した上で判断すべきだ」と述べた。

一方、会社側は「多くの企業が定年後の賃金引き下げを取ってきているなか、賃下げを一刀両断に違法とすることは、再雇用に取り組む企業にとって想定外。定年前よりも下がるのが社会一般の認識だ」と主張した。

2016年5月の一審東京地裁は、仕事の内容が正社員と変わらないことから、定年前と同水準の賃金支払いを命令。同年11月の二審東京高裁は、定年後の賃下げについて「一般的で社会的にも容認されている」と判断し、原告側が逆転敗訴した。

正社員と非正規社員の格差を巡っては、物流会社「ハマキョウレックス」(浜松市)の契約社員が、通勤手当や給食手当などで正社員との差額分の支払いを求めた訴訟も最高裁で争われており、第2小法廷が23日に弁論を開く。

待遇格差を是正する「同一労働同一賃金」の実施は、通常国会の焦点である働き方改革関連法案の柱の一つで、最高裁の判断が議論に影響を与える可能性がある。

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