キリン、ビール系で初のPB受託 ローソンなどの第三で
キリンビールがビール系飲料でプライベートブランド(PB=自主企画)品の製造を受託することが20日、分かった。同日にローソンとファミリーマートが発表したPB品の製造を請け負う。大手ビール会社がビール系で受託するのは珍しく、キリンは初めて。市場が縮小するなか、大手小売りとの関係を強化、収益源を広げる。

ローソンが5月29日に発売する第三のビール「ローソンセレクト ゴールドマスター」など2品目の製造を名古屋工場(愛知県清須市)で引き受ける。ファミリーマートが4月24日に発売する第三の新商品「CLEAR MALT クリアモルト」など2品目は福岡工場(福岡県朝倉市)で生産する。両社の商品にキリンビールのブランドは入らない。
大手ビール会社では、2017年7月にイオンの第三のPB商品を受託したサッポロビールに続く動きとなる。キリンは4月に主力ビール「一番搾り」で、セブン&アイ・ホールディングス限定の商品を発売するなど、足元で流通大手との連携を強めている。
背景にあるのが歯止めがかからないビール系の市場の縮小。ビール大手5社の17年のビール系の課税済み出荷量は、前年比2.6%減の4億407万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と10年で約2割減少した。
17年6月の酒類の安売り規制の強化も競争に拍車をかける。相対的にビール大手の商品価格が上がった結果、ビール系の中で最も安い第三ではPBへ消費者が流れている。
キリンは共同開発商品やPBを手掛けることで出荷の間口を広げる。工場の稼働率の向上につながるほか、自社商品の売り場争いでも優位に立てる可能性が出てくる。同社は18年に入って、ビール系の販売が前年を上回る勢い。好調な時期に流通大手との関係を築きアサヒビールとの差を縮める算段だ。
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