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英、インドなど英連邦諸国との関係強化 離脱にらみEU依存下げ

相手国には温度差

【ロンドン=小滝麻理子】英政府はインドやオーストラリアなど英連邦の加盟国との関係を一段と強める。加盟国間の貿易障壁の削減やインフラ整備などを進め、2020年までに貿易額が約7000億ドル(75兆円)規模の経済圏に育てる方針だ。欧州連合(EU)離脱を控え、経済のEU依存を引き下げる考えだ。だが、加盟国によって英連邦にどう対応していくのか姿勢が異なり、英国の思惑通りに連携が強まるかどうかは不透明だ。

英国と旧植民地など53カ国・地域でつくる英連邦の首脳会議は19日、ロンドンで始まった。20日まで同市などで開催する。インドのモディ首相、カナダのトルドー首相、豪州のターンブル首相のほか、ニュージーランドやシンガポール、南アフリカなどの首相や大統領40人以上が参加し、エリザベス女王が迎えた。

「力を合わせて21世紀の様々な課題に立ち向かう。英連邦に住む24億人の人々に変化をもたらそう」。メイ英首相は開会のあいさつで語った。英連邦は経済共同体でないが、英政府の後押しで今年は具体的な政策が並ぶ。

会議では英連邦向けの輸出補助の倍増のほか、加盟国間の教育インフラや女性・性的少数者の権利向上、サイバー対策、防衛協力などを進めることで一致する見通しだ。

すでにメイ氏はモディ氏やトルドー氏ら各国首脳と19日までに相次ぎ会談し、10億ポンド(約1500億円)以上の商談もまとめた。いまは5600億ドル規模の加盟国間の貿易を拡大させる考えだ。

背景には19年3月末に迫ったEU離脱後への危機感がある。EUは英国の輸出入の約半分を占めるが、英国は単一市場・関税同盟を抜ける方針で打撃は不可避だ。英政府内の試算ではEUと自由貿易協定(FTA)を結んでも、今後15年間の国内総生産(GDP)が予想よりも5%減る。アジアやアフリカをまたぐ英連邦ネットワークは武器になるとの期待がある。

もっとも、加盟国には温度差がある。アフリカ諸国からは離脱を機に英国がアフリカ外交を再構築すると期待の声が挙がる一方で、インド政府関係者は「本音ではアジア太平洋地域の経済圏構想の方がはるかに重要」と打ち明ける。ニュージーランドの記者は「英国がEUに加盟した際に農畜産物の関税障壁が高くなり、裏切られたという思いが一部世論には残っている」と指摘する。

カナダ、インド、豪州など英連邦主要国が英国の貿易量に占める割合は5%前後。英政府は離脱後速やかにこれらの国とFTAを結ぶ考えだが、EUの穴埋め効果はすぐには期待できない。

旧植民地の国々の中には英国に対して複雑な思いの国も少なくない。足元では、カリブ海地域の英領(当時)から戦後に英国が労働力不足を補うために呼び込んだ移民の入国書類を英当局が大量破棄していた問題が発覚。「英連邦の結束をうたう裏で、偽善だ」として英政府の姿勢に批判が高まっている。

「帝国2.0」。離脱強硬派の一部閣僚や議員が描く英連邦との自由貿易拡大の楽観論をやゆするこんな言葉もある。EU離脱後に英国が世界でどのような立ち位置を探るかの試金石になる。

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