2019年6月18日(火)

TSMC「スマホの次」育む 車載・AIが柱に
1~3月は仮想通貨特需

2018/4/19 23:00
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半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が半導体市場の変化を先取りする戦略を加速している。スマートフォン(スマホ)市場の飽和で逆風が吹くなか、2018年1~3月期は、仮想通貨特需で最高益を更新した。仮想通貨関連の需要が不透明な4月以降は、車載やAI(人工知能)関連など新しい分野を伸ばす。次世代の顧客をいち早く発掘し、ともに成長する柔軟なビジネスモデルを生かし、成長の持続を目指す。

1~3月期はiPhoneの最新機種「X(テン)」の不振や中国スマホ市場の落ち込みが直撃したが、純利益は897億台湾ドル(約3280億円)と前年同期比2%増を確保した。

TSMCは劉徳音氏(右)が張忠謀氏の後任の董事長、魏哲家氏(左)が新設の総裁CEOに就任する(19日、台北市内)

TSMCは劉徳音氏(右)が張忠謀氏の後任の董事長、魏哲家氏(左)が新設の総裁CEOに就任する(19日、台北市内)

スマホの落ち込みを補ったのが、仮想通貨のマイニング(採掘)特需だ。

具体的には、仮想通貨のマイニングに使われる「ASIC(エーシック=特定用途向け集積回路)」と呼ばれる半導体が伸びた。マイニングは取引システムの維持に協力する報酬として仮想通貨を受け取ることを指し、膨大な計算を繰り返す必要がある。より多くの仮想通貨を得るため半導体メーカーが最新のASICを次々に投入し、TSMCに特需をもたらした。

19日の決算会見で、劉徳音・共同最高経営責任者(CEO)は「半導体業界は、若く小さい顧客が最先端技術を使い躍進している」と述べた。

代表的な顧客が中国の北京比特大陸科技(ビットマイン)。内モンゴル自治区に巨大なマイニング施設を持つとされ、自社開発のASICの外販も手掛ける。TSMCは設立直後から成長を支えてきた。

ただ仮想通貨は今年に入って価格が急落している。19日の会見では仮想通貨関連の先行きに関して質問が集中した。

魏哲家・共同CEOは仮想通貨について「価格変動など不確実性もある」と不安の声を漏らした。スマホ不振も続く見通しで、18年12月期のドルベースの売上高を前期比10%増と従来予想の「10~15%増」から引き下げた。

だがTSMCの強みは顧客に開発プラットフォームを提供して生産を請け負うことで、次世代の担い手を次々と育てる独特のビジネスモデルだ。自動運転技術の担い手として注目を集めるGPU(画像処理半導体)大手の米エヌビディアとは1998年に提携し、16年ごろから収益貢献が本格化してきた。

足元では車載用など産業向け半導体が好調だ。制御技術の高度化に伴って、自動車に搭載される半導体の数は急増している。先行きが見通せない仮想通貨関連と違い、こうした分野は中長期的に伸びが続くとみられる。群を抜く技術力と市場の変化を先読みする力で中国勢など後を追う同業他社を突き放す。

(台北=伊原健作)

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