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医療費歯止め、患者負担の人口連動を議論 社保審

社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)は19日、医療保険部会を開き、2018年度中にまとめる社会保障改革案の議論を始めた。経済成長や人口減少の速度などに応じて、医療に必要となる財源を賄うため、患者の窓口負担を自動的に増やす案などが検討課題に浮上した。負担増に抵抗は強いが、高齢化で社会保障費は膨らみ続けており、大胆な見直しに踏み込めるかどうかが焦点だ。

社会保障改革の検討項目を盛り込んだ政府の工程表では、75歳以上の後期高齢者の患者負担の引き上げや、薬の種類に応じた自己負担率の設定などについて、18年度中に結論を出すとしている。与党や財務省などと調整し、具体策を詰める。

今回、初めて議論の対象としたのが、経済成長率や人口動態などに応じて患者負担を自動的、定期的に調整する仕組みだ。自民党の小渕優子氏がトップを務める同党の「財政構造のあり方検討小委員会」の中間報告で提起された案だ。

年金制度では、現役世代の人口減などに合わせて給付額を調整する「マクロ経済スライド」が導入されており、その医療版だといえる。財政の健全化をより重視する立場から生まれた発想だ。

まだ制度設計の具体像を示すまでには至っていない。アイデア段階の考え方だが、例えば、あらかじめ医療費の伸びを経済成長率や賃金の伸びの範囲内に抑える目標を立て、目標を超過するような場合は翌年度以降に患者負担を増やすといったことが想定される。保険制度の支え手である現役世代の人口が減った分、患者負担を上乗せするというのも一案だ。税や保険料で賄う医療保険の給付額を抑える狙いだ。

背景にあるのが高齢化の進展や、画期的な新薬の登場による医療費の増加だ。国民医療費は16年度に42兆円の見込みで、10年で3割増えた。経済成長率を上回る速度で医療費が膨らんでいるため、医療保険制度と財政の安定に向けて、医療費の伸び率や総額をコントロールする考え方だ。

もっとも、厚生労働省は今回の部会資料で「医療費や景気変動に応じて頻繁に負担が変わる」「医療費の伸びは診療報酬や保険料などで対応することが適切」などと問題点も挙げた。本来は医療費の抑制に積極的な立場の健康保険組合連合会の委員も「導入には慎重な検討が必要」という。

政府・与党内で引き続き検討課題となる見込みだが、日本総合研究所の西沢和彦主席研究員は「負担増が患者の受診抑制を招き、かえって健康状態の悪化につながる可能性もある」と指摘する。

今回の部会では診療報酬を地域別に設定する仕組みも議論になった。診療報酬は医療機関が診療行為の対価として受け取る報酬で、国が全国一律に定めている。ただ法律上は医療費適正化のために必要な場合、都道府県が独自に報酬を定めることができるとしている。

財務相の諮問機関である財政制度等審議会は活用に向けた議論を呼びかけているが、社保審医療保険部会の委員からは、地域別に設定した場合の影響が不明確なことなどから「診療報酬は全国統一が前提」などとする意見が多く出ている。

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