2018年12月19日(水)

入浴介護支援ロボ、21年までに実用化 富山大など産学官で

2018/4/17 20:00
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富山県で、介護ロボを産学官連携で製品化する取り組みが動き出した。富山大学は開発中の入浴介護アシストロボットを2021年までに製品化する計画を公表。AI(人工知能)を搭載した椅子型のロボットが要介護者に自動で接近し介護者の着座や入浴を支援する。通常ならば介護職員2人で対応する入浴介護が1人で済むといい、人材不足に悩む介護施設などの需要を見込む。

要介護者の体形に合わせてロボットがフィット感を調整する(実物の3分の1の模型)

「介護職員の多くが負担を感じている入浴介護の現場を変えられる」。4月中旬に富山大学で開かれた入浴介護アシストロボット計画の発表会。実物の3分の1の模型を示しながら、開発を担当する高齢者工学が専門の中島一樹教授は意気込んだ。同大によると、このようなロボットは日本初だという。

現在、介護現場で利用されているのは、車いすの要介護者などを浴槽に移す入浴リフトと呼ばれる機器だ。要介護者を抱きかかえる負担は軽減されるが、機器を操作する人と要介護者の体を支える人が必要だ。開発中のロボットはAIを使うことで、機器を操作する人が不要となり、1人で入浴を補助できる。

開発を進める椅子型のロボットは自動で要介護者に接近し、介護者が要介護者を乗せると、事前に登録された要介護者の体形データを踏まえて、自動的に着座姿勢や座り心地を調整する。

介護者は要介護者を乗せたロボットを浴場まで押して運ぶ。ロボットは防水仕様で座面が最大約70センチメートルまで上がるので、介護者は中腰姿勢にならずに要介護者の体を洗うことができる。側面部分が開閉できる特殊な浴槽がある浴場ならロボットごと浴槽に入れ、要介護者は胸のあたりまで湯につかれる。ロボットについたポンプで肩から湯をかけることもできる。

開発に着手したのは16年。現在は福祉機器のカナヤママシナリー(富山県黒部市)や富山県産業技術研究開発センターと基本構造を詰めている段階だ。例えば、要介護者に合わせて椅子が形状を変える際に皮膚を挟んだりすることがないように、椅子を構成する部材の形状や枚数、可動部分の改良を重ねている。

産学官連携の輪をこの先も拡大し、製品化への流れを加速させる。まずは早期に実物大の試作機を完成させたい考えで、県内外から協力企業を募る。販売戦略などは北陸銀行が協力する。

厚生労働省によると、要介護認定者数(18年1月末)は640万人。この10年の伸び率は約4割に達した。一方、介護職員数の伸びは追いつかず、経済産業省の推計によると介護人材は25年に32万人、35年には68万人、不足する見込み。介護現場の省力化策は喫緊の課題だ。

中島教授は「ロボットの導入で入浴介護の省力化が可能」と話し、介護施設への販売を目指す。介護の負担が軽減すれば介護者が入浴中に要介護者と会話を楽しむ余裕も生まれる。人手不足対策や介護職員の働き方改革、そして介護の質向上にもつながるロボットへの期待は少なくない。

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