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行政こそIT・AI活用を(大機小機)

今年1月、政府は行政の電子化に向けた「デジタル・ガバメント実行計画」を決定した。政府は2001年にはすでに、全ての行政手続きをインターネット経由で可能にすることに着手していた。しかし、行政手続きのうちネット申請を実施しているのは12%にとどまっており、紙の添付書類を求める手続きが多く存在する。行政サービスのデジタル改革は遅々としていると言わざるを得ない。

ただし、行政のデジタル化は国民との接点に限られるものではない。行政事務のあらゆる分野でデジタル化、あるいはIT(情報技術)やAI(人工知能)の活用によって、大幅な業務効率化やコスト削減が可能になるはずである。

さいたま市では毎年8千人の保育園入所希望者を市内300カ所の保育園に割り振っている。優先順位やきょうだい入所など複雑な要素を考慮する必要があるため、調整作業は30人の職員で50時間を費やすこともあるという。

この複雑なマッチング作業をAIで行う実証実験をしたところ、ほぼ完璧に近い結果となり、その所要時間はわずか数秒だったそうだ。劇的な負担軽減効果である。同市は本格的な導入の準備に取りかかっている。また、豊橋市では要介護度の認定にAIを活用する実証実験を始めており、現場の反応も上々という。

こうした事例はまだ多くはない。だが、好事例を全国の自治体に横展開していけば、自治体業務の効率化やコスト削減効果は極めて大きなものになると予想される。浮いた時間やコストをより重要な業務に割くことができれば、大幅な住民サービスの向上につながることになる。

デジタル化やIT・AI導入の効果はこれだけではない。今後、国や自治体が保有するインフラの老朽化が進み、その維持更新費が財政を圧迫すると懸念されている。維持更新に関わる人材の不足も指摘される。こうしたインフラを紙の図面ではなくデジタル情報に置き換えれば、インフラの現況の把握は容易になる。維持管理業務の効率化や更新コストの大幅な削減が可能になるという。

民間だけでなく、行政部門でデジタル化、IT・AIの活用による効率化が進めば、日本経済全体の生産性が大幅に上昇することは間違いない。(追分)

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