2018年12月13日(木)

大阪万博 今も着想の源 関西エアポート社長 山谷佳之さん(もっと関西)
私のかんさい

コラム(地域)
2018/4/17 17:00
保存
共有
印刷
その他

関西国際空港、大阪国際(伊丹)空港を運営する関西エアポート(大阪府泉佐野市)の初代社長の山谷佳之さん(61)。同社の大株主であるオリックス在籍時には、グループの信託銀行や不動産会社のトップを歴任した。限られた期間のプロジェクトでも必ず成果を出してきた。

 やまや・よしゆき 1956年大阪府生まれ。80年神戸大学農学部卒、オリエント・リース(現オリックス)入社。オリックス信託銀行(現オリックス銀行)などグループ会社のトップを歴任。オリックス副社長を経て、2015年12月から現職。

やまや・よしゆき 1956年大阪府生まれ。80年神戸大学農学部卒、オリエント・リース(現オリックス)入社。オリックス信託銀行(現オリックス銀行)などグループ会社のトップを歴任。オリックス副社長を経て、2015年12月から現職。

就職活動では「リース」という新しいビジネスに魅力を感じ、オリエント・リース(現オリックス)に入社した。これから成長する企業で働きたかった。営業職を務めたが、45歳のときオリックス信託銀行(現オリックス銀行)の社長に就いた。

同社はもともと山一証券の信託銀子会社で、山一証券出身者ら様々な立場の社員とともに働いた。勝手な思い込みから仕事がうまくいかないこともあり、「人の話をきちんと聞く」重要性を学んだ。この経験は関西エアポートの経営にも生きている。

オリックス不動産(東京・港)に移り、すみだ水族館(東京・墨田)やグランフロント大阪(大阪市)の開発を指揮した。どれもリーマン・ショックの影響を受け、資金調達が難しい時期の案件。社内では「このまま進めて大丈夫か」と何度も議論になったが、チームを信じるしかなかった。

一丸となって知恵を出しあった結果、お客様に喜ばれるものができたと思う。懸命に考えてつくったものは、時代が変わってもきちんと評価される。投資した資金を回収する唯一の方法は、困難に直面しても逃げずに価値を生みだすことだと考えている。

大阪府吹田市の出身で、1970年の大阪万博に35回も訪れるほどの「万博少年」だった。すみだ水族館のデザインは万博のシンボルである「太陽の塔」を参考にした。

大阪万博には1人で訪れることもあった

大阪万博には1人で訪れることもあった

吹田市では小学3年生まで旧市街地に住んでいた。万博会場は自宅から徒歩30分ほどの距離だったため、公式ガイドを片手に35回も訪れた。中学生の私にとって万博はまさに「ワンダーランド」。何度行っても飽きない魅力を感じた。エキゾチックなソ連館や日本の家電メーカーなどの展示に触れてわくわくした。

すみだ水族館は太陽の塔から着想を得た。塔の内部はエスカレーターで上りながら、生命の歴史をたどる構造になっていた。水族館では時代別に生物を展示して奥行きを演出した。入り口には生命の誕生を意味する光合成のコーナーを設置した。続いてクラゲなどの原始生物や魚類、鳥類と生物の進化の物語を凝縮して伝えるようにした。

2017年の関西国際空港の国際線旅客数は94年の開港以来、初めて2000万人を突破した。訪日外国人観光客の増加が寄与し、好調な業績が続く。4月には神戸空港(神戸市)の運営も始め、関西3空港の一体運営に乗りだした。

空港では安心・安全なサービスの提供と清潔さが欠かせない。そのうえで意識しているのが利用者を待たせない運営方法だ。日本では丁寧に時間をかけることがおもてなしととらえられがちだが、手荷物検査の進行が遅いと不快に感じる利用者は多い。そのため待ち時間を短縮できる最新の検査設備を導入した。

4月には神戸空港の運営も始め、関空、伊丹とともに1つの空港システムをつくろうとしている。「3空港で合計5000万人の利用」はシンガポールのチャンギ空港などと肩を並べる規模で、成田空港よりも多い。「オール関西」で結束すれば、アジアで新しい位置につけるのではないか。いまの関西には自信を取り戻す必要があると感じる。

加えて関西には奈良県の法隆寺など素晴らしい資産がたくさんある。しかし、訪日客に情報をうまく発信できていない。日本人にとっての関西の魅力と、外国人が感じる魅力は違う。海外からの目線で改めてマーケティングすることによって、関西はさらに成長できる可能性がある。

(聞き手は大阪経済部 土橋美沙)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報