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台湾蔡総統、初のアフリカ外遊出発

断交火消しに奔走

【台北=伊原健作】台湾の蔡英文総統は17日、アフリカ南部のスワジランド訪問へ出発した。就任以降初のアフリカ外遊となる。中国による外交圧力により台湾を「国」と承認するのは20カ国まで減少。アフリカは特に中国の影響力増大が顕著で、関係をつなぎとめたい意図がにじむ。ただ直近で欧州唯一の友好国・バチカンが中国と関係改善を進め、断交の火種を消して回るのは一段と難しくなっている。

「両国の関係を永く、固く結びつける」。17日、蔡氏はスワジランドへの出発にあたり空港で談話を発表した。今年は台湾がスワジランドと外交関係を結んでから50周年の節目。また19日の国王ムスワティ3世の誕生日を直接祝うことで関係強化を図る。一方で中国が18日に台湾海峡で実弾演習を行うことを念頭に「我々には国家の安全を守る自信と決意がある」として台湾の人々に動揺しないよう呼びかけた。

アフリカは台湾外交の鬼門だ。2016年末には西アフリカの島国サントメ・プリンシペが台湾と断交し、中国と国交を樹立した。中国との経済関係が深まるなか、台湾側には2億1千万ドル(約220億円)の経済支援を要請。台湾側が拒否した直後に断交を通告されたという。スワジランドについて外交部(外務省)は「関係は安定している」としつつも「中国大陸は企業を通じアフリカで影響力を強め、スワジランドも例外ではない」と警戒する。

中国大陸と台湾は一つの国に属するとする「一つの中国」原則を掲げる中国との関係上、各国は中台双方と同時に外交関係を結ぶことはできない。中国は圧倒的な経済力を武器に、「一つの中国」原則を認めない蔡政権に対し一方的に外交圧力を強める。台湾が持つアフリカの友好国は残り2カ国。残るブルキナファソにも懸念がある。

17年1月に米ブルームバーグは、中国がブルキナファソに500億ドルを供与する見返りに、台湾と断交するよう持ちかけたと報じた。蔡氏は今回スワジランドとともに訪問を計画したが、「相手の準備が整わなかった」(呉●(かねへんにりっとう)燮・外交部長=外相)と断念した。

今後の焦点は世界のカトリック教徒に影響力を持つバチカンだ。「バチカンが中国と国交を樹立したいのは事実だろう。膨大な人口と潜在的な信徒を無視できないのは理解できる」。大手シンクタンク、台湾智庫の董立文・諮問委員は4月の会合でこう述べた。

バチカンは1951年、無神論の立場に立つ中国共産党が政権を握ったことを受け、中国と国交を断絶。司教の任命権を巡り対立してきた。ただアジアへの布教拡大を目指す現・フランシスコ法王は関係修復を模索。両者が任命権の主導権で合意し、外交関係を樹立するとの観測が絶えない。

中国による台湾への外交圧力は一段と強まる兆しがある。米国では3月に台湾との高官の往来を促進する「台湾旅行法」が成立し、中国は米台の接近に激しく反発する。米とは通商交渉で神経戦のさなかにある中国の矛先は台湾に向くとの見方が強い。サントメ・プリンシペとの断交はトランプ米大統領が就任前、蔡総統と異例の電話協議に臨んだ直後に発生した。

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