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東京五輪に双子出場 夢のロードへ 設楽悠太(下)
男子マラソン

2018/4/22 6:30
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マラソンは我慢、禁欲、苦しみに満ちた世界。ところが設楽悠太の話を聞いていると、そういう固定観念は覆される。

偏食で、小さい頃から野菜嫌い。東洋大時代に寮で出された食事に嫌いな品があれば、後輩に食べてもらっていたという。昔に比べればましになったが、今も「緑の野菜は基本的に食べない」。休日に酒を飲みに行くのが何よりの楽しみで、大会が2週間後に迫ったところでやっと酒気を断つ。あれこれ制限してストレスをためたくない。

自分飾らず、その時の感覚大事に

設楽は走らざるを得ない状況に身を置くことでスイッチが入る

設楽は走らざるを得ない状況に身を置くことでスイッチが入る

練習もどちらかといえば好きではない。30キロ走の練習日は「テンションが低い」。土日の大会に出場するのは、実戦重視の考え方とは別に「(レースに出ないと)サボっちゃうから」という理由もある。走らざるを得ない状況に身を置くことでスイッチが入る。自分を飾らず、その時の感覚を大事にして思うがまま動く。そうして独自のトレーニングを確立させた。

遡れば、双子の兄、啓太(日立物流)と小学6年から陸上を始めたのは親の勧めがきっかけだった。初めは興味がわかず、準備体操で手を抜いて叱られた。

中学から長距離を始めても目標はなく、高校で勧誘がなかったら競技を続けていたかどうか。ただ、兄の存在は大きかった。「双子じゃなかったらここまでやっていなかった。いい刺激をもらっていたし、本気にさせてもらったのはあいつのおかげ」。東洋大では2人で1年生から箱根駅伝を経験し、悠太は2年生から3年連続区間賞。期待のランナーは順調に階段を上がっていった。

世界の壁を感じたのは2015年の北京世界選手権。1万メートルで周回遅れの最下位に沈んだ。何かを変える必要性に迫られ、「言われたことをやるだけだった」姿勢を改める。自分から積極的に意見するように脱皮を図った。16年のリオデジャネイロ五輪1万メートルで29位に終わり、マラソンに軸足を移すと決めた。トラックとどちらが世界で勝負できるかという自問の末に。その決断は、その後の成長曲線によって正しく報われつつある。

2年後の東京五輪の出場は「あるな、くらい」の軽い感じで捉えている。大切なのは目の前の試合。特に日本新記録を出した次のレースが肝心だ。ただ「どのアスリートも五輪に出たいはず。そこで勝負をしてみたい」とも思う。いつも隣にいた兄と、そこで日の丸をつけて走れたら――。奔放にみえる弟は、そんないじらしい夢を胸に秘めている。=敬称略

(渡辺岳史)

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