2018年9月22日(土)

テレワークを狙え、SNSやカラオケにも商機

2018/4/17 6:30
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 自宅など職場以外で働く「テレワーク」の普及が関連ビジネスを刺激している。パソコンやクラウドなど直接的なモノやサービスに加えて、“異業種”による働く場所の提供なども広がってきた。人手不足や働き方の多様化でテレワークに関心を持つ企業や人は今後も増える。関連サービスなどが広がることで、会社以外での「労働環境」も良くなりそうだ。

ブイキューブが発売したコミュニケーションブース「テレキューブ」はビル内や商業施設、空港などでの設置を進めている

ブイキューブが発売したコミュニケーションブース「テレキューブ」はビル内や商業施設、空港などでの設置を進めている

 若者層を中心にカフェなど自分の好きな場所で仕事をする「ノマドワーカー」が増えている。仕事の効率性を高めるため「出先で資料などをまとめたい」といった要望も多い。しかし、知らない人のなかでは集中しにくかったり、秘密を守るのが難しかったりして二の足を踏む人もいる。

 ブイキューブがレノボ・ジャパンと組んで昨年8月に売り出した簡易オフィス「テレキューブ」は、そういった悩みに応える新たな“オフィス空間”だ。見た目はまるで電話ボックス。防音機能を備えているほか、内部にはモニターや通信機器も完備している。初年度はビルや商業施設内など100カ所での設置を目指す。

 育児や介護などの合間に自宅で勤務するなどテレワークの形態は多彩だ。「短時間でも仕事に集中できる環境が欲しい」といった声も多く、新たな商機と捉える企業も出てきた。

 第一興商はカラオケルーム「ビッグエコー」をビジネス用に使う「ビジネスプラン」を展開する。防音機能に加えて、カラオケ用の大型ディスプレーを会議などのモニターとして使うことも可能だ。駅前など立地の良さもあって、東京・品川地区では1カ月の利用者が50組を超えたケースも出てきた。平日昼間の月間売上高が5%増えた店もあるという。

 眼鏡専門店のジンズは、東京都千代田区のオフィスビルに会員制のワーキングスペース「Think Lab(シンク・ラボ)」を2017年12月に開設した。交通アクセスの良さを売りに、集中しやすい空間を提供する。定期契約と時間利用の合計で1カ月60人程度が利用している。

第一興商のカラオケ「ビックエコー」では会議室やテレワーク用オフィスとして需要が増している

第一興商のカラオケ「ビックエコー」では会議室やテレワーク用オフィスとして需要が増している

 テレワークでは社員間の連絡や書類・メールの作成、会議への参加などの際にパソコンやタブレットなどの通信機器は不可欠だ。パソコンはスマートフォン(スマホ)などに市場を奪われてきたが、復活の兆しも見えてきた。

 書類作成などの際にはスマホなどと比べて使い勝手が良く、「多様な働き方を支えるツールとして役割が見直されている」。富士通も「軽量パソコンの引き合いが目立って増えている」という。調査会社のMM総研によると、18年度のパソコン出荷台数は前年度を上回る見通しだ。

 日本マイクロソフト(MS)はテレワークが「普及期に入った」として、中核となるクラウドサービス「オフィス365」の営業を強化している。クラウドはテレビ会議のほか、書類の共有や編集などテレワークを進めるのに欠かせない。MSは20年までに主要上場企業のすべてへの導入を目指しており、並行して中堅・中小企業の需要も開拓する方針だ。

 テレワークでは勤務状況の把握も課題となる。NECのクラウドサービス「働き方見える化サービス」は、パソコンの稼働状況を自動収集しつつ、テレワークの勤務状況を社員らが登録してクラウド上で勤怠管理する。初期費用が不要で、社員1人当たり月500円と利用料も手ごろな水準に設定した。3年で関連ビジネスの売上高として100億円を目指す。

 一方、テレワークが広がると社内のコミュニケーションが希薄になる懸念もある。内田洋行が提供する社内交流サイト(SNS)「スマートアミーゴ」は、社員間のスキルや文書などを共有しやすく、意思疏通にもつながるとして、導入企業は計70社を超えた。

 みずほ総合研究所の堀江奈保子上席主任研究員は「テレワークの関連市場の裾野は広い。低調な旧来事業のテコ入れや新規参入の機会になるのではないか」と指摘している。

(企業報道部 流合研士郎)

[日経産業新聞 2018年4月17日付]

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