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練習で40キロ走「昔の考え方」 設楽悠太(上)

男子マラソン

16年ぶりの日本記録更新で男子マラソン界の新時代の幕開けを告げ、1億円の報奨金を手にするインパクトの強さも相まって一躍、時の人になった。2月の東京マラソンで感じた反響の大きさは、設楽悠太(ホンダ)の陸上に対する考え方も変えた。「これまで熱い思いなどなかったが、日本を背負わないといけない存在になった。陸上界を変えたいという思いはある」

設楽は誰をまねるでも、誰に憧れるでもない我が道を行く

2時間6分11秒を刻み、日本勢トップの2位。「記録より勝負に徹した」という3度目のマラソンで初めてゴール直後に倒れ込んだ。10キロ付近で痛みを感じた右脚が限界に近かった。後日、精密検査を受けると「疲労骨折の治りかけ」。そんな脚で残りの30キロ以上を駆け抜け、記録と勝負の二兎(にと)を得たことに驚かされる。

マラソンでは一般的とされる40キロ走の練習を設楽は好まない。練習で走り込んでこそ、と諭されても「それは昔の考え方」と取りあわない。練習を積んだからといって本番で結果が出るほど簡単な競技ではないと語る。「30キロ以降は気持ちの問題。走力は関係ない」とも。

その境地に至ったのには、昨秋に実現したモハメド・ファラー(英国)との対談が少なからず影響している。「レースで大事なのは勝つことと自分を信じることだ」。2012年ロンドン、16年リオデジャネイロの両五輪で5千、1万メートルを制した中長距離最強ランナーの言葉が胸に響いた。

週末は駅伝・ハーフ、勝負勘を鍛錬

40キロ走の代わりに、週末に駅伝やハーフマラソンを重ねて勝負勘を養う。できることなら毎週出場したいと思う。マラソンへの調整でレースに出る選手は多いが、設楽はどのレースも力を注ぐ。勝つことに集中し、勝つことに慣れる。競うことでしか味わえない雰囲気と経験の蓄積が今の自分を形づくる。昨年9月のハーフで日本新記録。そのころから日本人トップの座を譲ったことはない。

誰をまねるでも、誰に憧れるでもない我が道を行くスタイル。走行距離を伴う練習こそマラソン復活のカギと訴えていた日本陸連の瀬古利彦・強化戦略プロジェクトリーダーも舌を巻く。「僕にはないものを持っている。新人類というか、型にはめてはいけないんでしょう」。強化の方法はひとつではない。周りに流されない信念を持つランナーの言動や行動は示唆に富んでいる。

本人は場数を踏むごとに進んでいる方向の正しさを確かめてきた。スピード重視の世界と戦うために、まず2時間4、5分台を目指す。伸びしろを考えれば、決して越えられないハードルではない。=敬称略

(渡辺岳史)

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