トランプ氏不在の米州首脳会議~中ロの影響拡大じわり

2018/4/15 21:12
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【リマ=外山尚之】南北アメリカ大陸の首脳が一堂に会する米州首脳会議が14日、閉幕した。ベネズエラ情勢や汚職対策を議論したが、米トランプ大統領はシリア情勢への対応のため欠席。米大統領が就任以来、「庭先」である中南米を一度も訪れない異例の状況が続く。中国やロシアがこの間に影響力を拡大しており、地域の勢力図が変容しつつある。

米州首脳会議は3年程度に1度開かれる。米国からはペンス副大統領が代理出席し、各国首脳やベネズエラ野党と会談。ベネズエラのマドゥロ政権に対する圧力を強めることで一致したほか、トランプ氏の娘イバンカ大統領補佐官が関連イベントに出席するなど中南米地域との関係強化をアピールした。

一方、「主役」であるトランプ氏の欠席発表後、会議を欠席したり予定を早めて帰国したりする首脳も相次ぐなど、盛り上がりを欠く会議となった。

米国が中南米に背を向けるなか、影響力を拡大するのが中国とロシアだ。2017年6月に台湾と断交し、中国との国交の樹立を発表したパナマでは中国主導で西部と首都をつなぐ全長450キロメートルの鉄道計画が持ち上がるなど、中国マネーに沸く。

チリは17年、一度は見送ったアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を決定。アルゼンチンでは右派のマクリ大統領が前政権時代に決まった中国製原子力発電所の建設計画に待ったをかけたが、中国は低金利融資や農畜産品の輸出促進を約束して翻意させた。

貿易面でも中国の存在感は大きい。米ボストン大によると、17年の中南米の対中輸出額は1040億ドル(約11兆1700億円)と前年から2割増えた。すでにブラジルやペルーなどにとって中国は最大の輸出先となっている。

ロス米商務長官は会議に先立ち「中国は世界で最大の保護主義国だ」と中南米諸国に呼びかけたが、トランプ氏が鉄鋼製品の関税引き上げや北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で中南米に圧力をかける状況下では説得力を欠く。

影響力を拡大するのは中国だけではない。英タイムズ紙は3月、ベネズエラ政府が進める国産仮想通貨「ペトロ」の発行をロシア政府が支援した疑いがあると報じた。財政難に苦しむ反米左派のベネズエラ政府を融資や投資で後押しするなど、ロシアは反米国の支援で米国を揺さぶる。

プーチン大統領はキューバにも接近、経済面での影響力を高めている。キューバ外務省は14日、米国のシリアへの軍事攻撃について「米国の攻撃は国際法と国連憲章を破った」と非難。3年前の会議ではオバマ氏とカストロ国家評議会議長が握手で雪解けムードを演出したが、こうした機運は霧散。米国と中南米の溝は深まるばかりだ。

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