2018年10月19日(金)

米、対日FTAじわり圧力 為替条項・輸出規制も

2018/4/15 17:30
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【ワシントン=河浪武史】トランプ米政権はフロリダ州で17~18日に開く日米首脳会談を前に、日本との自由貿易協定(FTA)交渉に向けて日本への圧力を強めている。米通商代表部(USTR)は対日FTAの協議開始をすでに打診しており、日本側の感触を探っている。米国側は為替条項や輸出自主規制など「管理貿易」を求める可能性があり、両者の水面下の協議は難航している。

「日本には繰り返し対日FTAの交渉開始を要求している。あとはタイミングだ」。USTR幹部はそう明かす。トランプ大統領も12日、ツイッターで「日本とも(2国間協定の)交渉をしようとしている」と強調。米財務省は13日公表した半期為替報告書で「巨大な対日貿易赤字を懸念している」と明記し、首脳会談前に日本に強く圧力をかけてきた。

11月の中間選挙を前に、ホワイトハウスは対日FTAを急がなければならない。農畜産団体などが早期交渉を強く要求してくるためだ。

環太平洋経済連携協定(TPP)参加国のオーストラリアは、日本へ輸出する牛肉の関税が最終的に9%まで下がるが、米国は38.5%のまま。圧倒的に競争力が落ちるため、米国の牛肉や豚肉の生産者団体は、日米FTAを求める書簡を既にトランプ氏に送りつけている。

日米の貿易不均衡の最大の要因はといえば、自動車だ。ただ、日本の自動車輸入関税は既にゼロで、むしろ米国側に2.5(乗用車)~25%(ピックアップトラック)もの関税が残っている状態。日米の関税協議では自動車の貿易不均衡は解決できない。

ホワイトハウス関係者は「米自動車業界は日本の通貨安を封じる施策を求めている」と明かす。

再交渉が妥結した米韓FTAでは、韓国に通貨安誘導を禁じる為替条項を要求し、トランプ政権が一方的に同条項を発表する事態となった。

また、韓国には鉄鋼の輸出数量規制ものませた。USTR代表のライトハイザー氏は1980年代、日本にも鉄鋼の自主規制を突き付けた張本人だ。トランプ政権が求める2国間協議は、為替政策や輸出規制を含む「管理貿易」の色彩が濃い。

対北朝鮮政策で日米連携を重視してきたトランプ氏は、2017年1月の就任以降、首脳会談で本格的な日米FTA交渉を要求してこなかった。ケリー首席補佐官ら、伝統的に日米同盟を重んじる軍人出身者がホワイトハウスの中枢を占めていた影響も大きい。

しかしこれまでの蜜月関係は崩れつつある。トランプ氏は自ら米朝首脳会談に乗り出し、日本は必ずしも強力な援軍ではなくなった。ホワイトハウス内も国家安全保障担当の大統領補佐官だったマクマスター氏が政権を去り、ケリー氏はトランプ氏との確執が指摘される。日本がよりどころとした軍関係者の勢力は衰え始めている。

トランプ氏自身、日本でのビジネス経験は極めて少なく「そもそも日本への関心に乏しい」(政権関係者)。1990年にカジノ事業の不振に陥った際には邦銀3行が金融支援を最後まで渋り、債務不履行の瀬戸際に立たされたことすらある。

トランプ大統領は12日、ライトハイザー氏らにTPPに復帰する条件を探るよう指示を出した。ただ、TPP離脱はトランプ氏を熱狂的に支えた中西部の労働者に最も響いた公約の一つ。同氏は簡単には協定復帰に動けない。日本がTPP復帰を働きかければ、トランプ氏は協定を抜本的に見直す再交渉を求める腹づもりだ。FTA交渉もTPP交渉も、入り口まで難航することが予想される。

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