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データで読み解く 大谷翔平の投球の実相
スポーツライター 丹羽政善

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2018/4/16 6:30
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3月21日午前、エンゼルスの大谷翔平はブルペンで長い時間を過ごしていた。

キャンプ施設のブルペンは少し見にくいところにあるので、どこをどう修正したのかというところまではわからなかったが、投げる前に構えた段階でコーチがアドバイスを飛ばす。左足を上げればそこで動作を止め、また投手コーチが身ぶり手ぶりで何かを伝えていた。

米大リーグ開幕1週間前のこと。あの時点で、あそこまで手を加えるのはよほどのことと映ったが、試行錯誤を重ねたからこそ今があるのだろう。物事には必ず、そうなる理由がある。

見分けつかぬ4シームとフォーク

大谷の4シームとフォークボールは軌道がほぼ同じという=AP

大谷の4シームとフォークボールは軌道がほぼ同じという=AP

同様に打者を抑えるにも相応の理由がある。

「4シームとフォークボールの見分けがつかない」

大谷と4度対戦したアスレチックスのジョナサン・ルクロイは後日、そんな印象を口にした。

「軌道が同じだから、そこからは球種の判断をしようがない。どう対応するかって? ヤマを張るしかないね」

同じ軌道――。大谷の評価で頻繁に見聞きするそうした言葉は、具体的にどういうことなのか。

今回、それをデータで証明してみたい。

大リーグの全球場には、2015年から「Statcast(スタットキャスト)」という動作解析システムが導入されている。

ベースにあるのは、かつてドップラー効果を基礎としたレーダー技術を応用し、ミサイルの弾道追尾システムの設計に関わっていたフレデリック・タクセン氏らが開発したトラックマンという解析機器。もともとはゴルフのレッスン用としてスポーツ市場に足場を築いた。

入射角や打ち出し角度、回転数などからゴルフスイングの問題点を導き出す画期的なデータ分析手法は、やがて野球にも転用された。投手の投げる球であれば球速、回転数、縦横の変化量、リリースポイントなど、また打者であれば打球の初速、打球の角度など決して肉眼では判別できない現象が数値化されるようになった。

それに伴ってこれまで「球持ちがいい」「キレがある」などと、漫然と表現されてきた球質に関してもある程度は証明が可能となっている。また、昨季のアストロズのワールドシリーズ制覇を支えた「フライボール革命」という原理は、打球の初速と角度を重視することにあった。こうした機器の発明がなければ、その種の進化はあり得なかったといっていい。

さて、ここからが大谷の4シームとフォークの軌道が同じという話だが、要は「Statcast」で得られる横の変化量(動き)からそれを比較してみればいい。

それほど複雑な話ではなく、「Statcast」のデータは試合翌日になると、「ベースボール・サバント」というウェブサイトで公開される。もちろん多少の予備知識は必要で、今回比較する縦横の変化量というのは、実際の球がホームベース上のどこを通過したかということに対し、その球が無回転で重力のみが作用した場合、ホームベース上のどの地点を通過するかを基点とし、その差を求めたものである。

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