2018年4月27日(金)

ドローン編隊、空から犯罪見逃さず KDDIなど

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2018/4/15 6:30
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 KDDIセコムなどが、複数のドローン(小型無人機)を同時に飛ばして広いエリアを警備する技術の開発を進めている。ドローン同士の衝突などを避けるための遠隔管理に携帯電話回線を活用。特別な無線インフラを整備せずに様々な場所での飛行を可能にする。東京五輪もにらんだドローン警備の実現に向け、携帯電話会社が大きな役割を担おうとしている。

高度が異なる4台のドローンを使って広域監視する

高度が異なる4台のドローンを使って広域監視する

 「あなたの行動はすべて画像に記録されています。すぐに犯行を止めなさい」――。相模原市の遊園地「さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト」の園内で、不審者を発見したドローンからの警告音が鳴り響いた。

 KDDIとセコム、ドローンの運航管理システムなどを手がけるテラドローン(東京・渋谷)などが実施した実証実験の一幕だ。東京ドーム30個分以上という広大な敷地の上空を4台のドローンが同時に飛び、遊戯施設などを警備した。

 4台のうちの2台は高度60メートルの上空から遊園地全体を見下ろして監視。別の2台は40メートルの高さをあらかじめ設定したルートに沿って飛び、不審者を発見した場合は直ちにルートを変更して追いかける役割を与えた。

■異なる高度から警備

 実験ではドローンが不審者役の人間を追いながら、搭載したカメラで撮影。映像をLTEの通信回線を使って監視センターに送信した。監視センターでは送られてきた映像を確認すると同時に、運航管理システムで位置をチェック。即座に警備員を急行させた。

 こういった一連のドローンの動きを実現するには精密な制御技術が欠かせない。「他のドローンと衝突させないように、通信回線を使ってリアルタイムでドローンを遠隔制御する運航管理システムが重要になる」(KDDIの杉田博司商品1グループ課長補佐)

 通信回線もWi―Fiなどでは広域をカバーすることが難しい。とはいえ、ドローン用の無線インフラを改めて構築するのはコストなどの面から現実的ではない。杉田氏は「すでに整備されている携帯電話回線の利用が最も適している」と強調する。

 KDDIはこの考え方に基づき、2016年12月から携帯電話回線を使ってドローンを遠隔制御する「スマートドローン構想」を進めている。通信技術の確立と同時に、ドローンの精密な運航管理技術も開発する。

 今回の実験でもテラドローンなどと共同開発しているシステムを活用した。このシステムは複数のドローンの飛行プランを管理できるのが特徴。ルートが重ならないかを空間的に判断し、重なるようであれば衝突しないように調整する。

■ルートは即座に変更

 飛行中のドローンも携帯回線を使ってリアルタイムで運航管理システムに接続しており、突発的なルート変更にも対応できる。「空間情報を管理できる運航管理システムによって、初めて4台のドローンが機動的に警備できる体制を実現できた」(杉田氏)

 ドローンは将来的に物流や測量、警備など様々な場面での利用が期待されている。複数のドローンが同じ上空を飛び交うようになると、「飛行機の航空管制のように、複数のドローンをリアルタイムで遠隔制御する運航管理システムが必須」と杉田氏は強調する。

 現在、日本では目視できる範囲以外でのドローンの飛行が制限されいる。しかし、今後は条件次第で山間部などでの目視外飛行が可能になるような規制緩和も検討されている。「目視外飛行の条件として携帯電話回線による遠隔監理や、ドローンへのカメラ搭載が有力な案として浮上している」(杉田氏)。携帯電話回線を搭載したドローンが今後の主役になる可能性は高い。

 今回の実験では高感度カメラを使った夜間の監視や、赤外線カメラを使った不審火の検出も試した。今後は人工知能(AI)を使って不審者を自動検出するような取り組みも進めたいという。東京五輪での警備で活躍する可能性もある。

 KDDIは今後も運航管理システムの技術向上に力を入れる。ドローンの安定運航に影響を与える気象情報や、周辺地形などの3次元地図情報をさらにシステムに組み込みたい考えで、気象情報のウェザーニューズや地図情報のゼンリンとも業務提携した。ドローンが我々の頭上を自由に飛び回る時代の主役の一人は携帯電話会社かもしれない。

(企業報道部 堀越功)

[日経産業新聞 2018年4月12日付]

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