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西野監督、時間との闘い まず選手の心をほぐす
編集委員 武智幸徳

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2018/4/14 6:30
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日本代表監督就任記者会見で厳しい表情の西野朗氏=共同

日本代表監督就任記者会見で厳しい表情の西野朗氏=共同

サッカー日本代表で衝撃の監督交代が断行された。日本サッカー協会(JFA)は9日、バヒド・ハリルホジッチ監督との契約解除を発表。後任監督に指名されたのは西野朗・JFA技術委員長(63)で、12日には新監督の就任会見が行われた。ワールドカップ(W杯)ロシア大会の開幕を2カ月後に控えたタイミングで何があったのか。

「選手との信頼関係が薄れてきた」

JFAの田嶋幸三会長から西野委員長に監督就任の打診があったのは3月末だった。同月の欧州遠征で日本代表はマリと1―1で引き分け、ウクライナには1―2で敗れた。内容の乏しさは目を覆うばかりで、ハリルホジッチ監督の下で選手の士気が大きく低下していることをうかがわせた。

4月9日の契約解除の発表の場で、田嶋会長は決断の理由を「試合の勝ち負けだけで監督更迭を決めたわけではないが、選手とのコミュニケーションや信頼関係が多少薄れてきたと感じた。私は1%でも2%でもW杯で勝つ可能性を追い求めていきたいと考えている。そのためにこの結論に達した」と語った。

ハリルホジッチ監督(右)とともに、西野氏も辞任を決意したことがあった=共同

ハリルホジッチ監督(右)とともに、西野氏も辞任を決意したことがあった=共同

監督を支えてきた技術委員長として、西野氏は打診を受け、かなり迷ったようだ。かねてから親しい人間には「ハリルさんが辞めるときは自分も辞める」と漏らしていた。しかし、田嶋会長に、このタイミングで監督が務まるのは「監督とともにチームを長く見てきた西野さんだけ」と強く説得され、技術委員長から監督になる異例の転身を果たすことになった。

「間違いなく、これまではハリルホジッチ監督を支えたい気持ちでいっぱいだった。これからの2カ月、何をすれば(沈滞したチームのムードを)劇的に変えられるかを考えていた。だから、会長からの就任要請には戸惑った。監督と同様に(自分も辞める)と思ったけれど……」。12日の就任会見の場で西野新監督は複雑な表情で就任に至るまでの心情を語った。

このタイミングで監督を代えるのなら確かに西野技術委員長しかなかったのかもしれない。別の案として手倉森誠コーチ(2016年リオデジャネイロ五輪代表監督)の内部昇格も一考に値するように思われるが、厳しい戦いが予想されるロシア大会は監督のキャリアを大きく傷つけるリスクをはらんでいる。協会としては手倉森コーチと、2年後の東京五輪を戦うU―21(21歳以下)代表の森保一監督は「ロシア以後」をにらんで、手元に持っておきたいカードだったように思う。

日本人選手に精通しているという点ではJクラブの監督に依頼する手もなくはない。が、現職の監督をクラブから引きはがすことの弊害にはイビチャ・オシムさんの例がある。06年ドイツ大会後、当時J1の千葉を率いていたオシムさんを代表監督に三顧の礼で迎えたが、千葉は翌年から衰運に向かい、今もJ2にいる。

代表で、クラブで豊富な実績

何より、西野新監督には代表(ユース、五輪代表)とクラブ(270勝のJ1最多勝監督)の両面で豊富なキャリアがある。日本人監督として2度のW杯を戦い、今はFC今治のオーナー業が忙しい岡田武史氏を除くと、監督交代を前提にすれば、この窮地で西野委員長に指揮が託されてもそれほどの不思議は感じない。

新監督に与えられた時間は少ない。W杯ロシア大会まで2カ月と書いたが、実質的なチームの活動期間はもっと短い。国際サッカー連盟(FIFA)は5月21日から27日までを"公休"とするようW杯出場チームに通達している。選手に休養を与えて本番に向けて英気を養ってもらうためだ。

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