2019年7月16日(火)

ドクタースマホ、24時間診ます

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2018/4/13 6:30
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いまや誰もが肌身離さず持っているスマートフォン(スマホ)が持ち主とチャット形式などで対話して励まし、生活習慣を改善して病気の治療につなげる。米国帰りの医師が率いるスタートアップ企業などが、そんな時代をつくりだそうとしている。薬でも従来型の医療機器でもない新たな「治療サービス」を生み出す挑戦が、高齢化に伴う医療費の膨張に苦しむ日本で動き出した。

スマホのアプリが新たな治療サービスとなる

スマホのアプリが新たな治療サービスとなる

■絶妙のタイミングでメッセージ

「たばこが吸いたい……」。禁煙の経験者なら、3日目の朝の苦しさが分かるだろう。体内からニコチンが抜け始め、禁断症状が強くなるとされる時期だ。苦しみながら起きると、枕元のスマホからチャットでメッセージが届く。「ガムを近くに用意して、すぐかめるようにしましょう」

これは医師でもある佐竹晃太社長が2014年に創業したスタートアップ、キュア・アップ(東京・中央)が提供する禁煙支援アプリ「アスキュア」の働きだ。寝起きや食後など、たばこを吸いたくなる絶妙のタイミングでメッセージを送る。

メッセージは一方通行ではない。このアプリで禁煙に成功した鉄鋼商社、伊藤忠丸紅鉄鋼の大谷俊秀人事総務部長は「チャットで励ましの言葉が欲しいというと、うさぎのマスコットが速攻で返信をくれた」と笑う。

「たばこが吸いたい」とスマホに訴えると「5分で収まりますよ」「好きな音楽をかけましょう」と矢継ぎ早に助言が来る。このアドバイスの裏には、実はベテラン医師の知識が隠れている。

スマホを第3の治療手段に

スマホを第3の治療手段に

キュア・アップは禁煙外来の多くの医師が実際の診療で得た知識を集めてデータベース化し、医療クラウドとして運用している。アプリの利用者はスマホに体調や体重、たばこを吸いたい気持ちは何レベルかなどを毎日記入する。クラウドでは記入内容などをデータベースと照らし合わせて独自のアルゴリズムで分析し、助言パターンを個別に決めている。

クラウドにある日記などの分析結果は、薬剤師や看護師など禁煙の専門知識を持つ指導員が見ることができる。指導員は利用者の日常を把握し、一人ひとりに合ったアドバイスをする。

同社によれば、第一生命保険や野村証券など国内15社とアプリの利用契約を結んでいるという。6カ月の利用料は1人あたり4万5000円前後。これまでに100人以上が利用している。

佐竹社長が治療アプリを知ったのは13年秋。当時は米ジョンズ・ホプキンス大学の大学院に留学し、様々な技術の医療応用を研究していた。ここで指導教官から渡されたのが、米国の糖尿病治療アプリに関する論文だ。

そこにはアプリによる生活改善で、患者の症状が薬の服用と同様に改善した結果が書かれていた。佐竹社長は直感した。「薬や手術だけに頼らず病気を治せるなら、これまで治療法がないような病気への新たな選択肢になるかもしれない」。14年に帰国し、起業した。

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