2018年10月23日(火)

外国人就労増へ環境整備 行政縦割り超え、実態を把握

2018/4/12 20:00
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政府は外国人労働者の受け入れを拡大していくのに合わせ、企業が医療など社会保障の費用負担を逃れるといった不正を防ぐ体制の強化に取り組む。個々の在留者から届け出を受ける法務省と、雇用主からの情報を集約する厚生労働省が連携して届け出が漏れている企業を指導し、より正確な実態の把握をめざす。人手不足が深刻になるなか、外国人の働き手を受け入れる環境整備を急ぐ。

政府は実態把握の強化に向けた対策について、6月にもまとめる成長戦略に盛り、早期に実施する方針だ。

現行制度では法務省と厚労省が別々の観点から外国人の就労の実態を調べている。法務省が出入国管理及び難民認定法で在留者個人に所属機関などの情報の届け出を義務付ける一方で、厚労省は雇用対策法で雇用主である企業に雇用状況を届け出るよう求めている。

縦割り行政が実態把握の壁となっており、外国人の在留資格別人数をみると、厚労省と法務省とで食い違う。例えば教授や医師など特定の活動をする「専門的・技術的分野」について、法務省は2017年末で約30万人としているが、厚労省のほぼ同じ時期のデータでは約24万人だという。

政府内では、企業が外国人労働者の社会保障の費用負担などを回避しようと、届け出を怠っている可能性があるとの見方がある。こうした不正を防ぐため、厚労省と法務省が互いの情報を照合し、届け出が漏れている企業に対して厚労省が指導するように改める。

不法就労の実態把握も進みそうだ。例えば、外国人Aさんが法務省にB社で働いていると届け出ているにもかかわらず、厚労省にはB社だけでなく、C社からもAさんの雇用情報が寄せられているといったケースがある。在留資格で認められた範囲を超えて働いている恐れがあり、取り締まりに動くことができる。

法務省によると、17年に不法就労の事実が認められたのは9134人。入管法違反全体に占める割合は66.7%と高い。

政府は外国人労働者向けの新たな在留資格をつくり、就労の本格的な拡大にカジを切ろうとしている。最長5年間の技能実習を修了した外国人に対し、さらに最長5年間、就労できる資格を与えることを検討している。その一方で、行政の体制を含めて、多くの外国人を受け入れることを前提とした社会基盤の整備は遅れているのが実情だ。

就労実態をより正確に把握することは、働き手の多様化に応じた政策を立案、実行していくうえで欠かせない一歩だ。政府として省庁間の具体的な連携のあり方を明示することで、外国人労働者の就労拡大に向けた議論を後押ししたい考えだ。

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